葬儀屋は暴力団のお葬式を受けてはいけないはずなのに…「射殺された暴力団員の葬儀」報道に疑問
―[考える葬儀屋さん/赤城啓昭]―
意外と知らない通夜やお葬式でのマナー、業界の裏事情を綴った今、注目のサイト「考える葬儀屋さんのブログ」。「ライブドアブログ OF THE YEAR 2015」にも選ばれた同サイトの管理人・考える葬儀屋さんに聞いた、恥をかかない今のうちに知っておきたいお葬式の常識とは――。
葬儀屋さんブロガーの「考える葬儀屋さん」と申します。
先日、奇妙な報道を耳にしました。「警察の厳戒態勢の中、射殺された暴力団員の葬儀が執り行われた」というものです。
この報道を聞いてどこが奇妙なのか一般の読者の方はピンと来ないかもしれません。では、こういう風に言い換えてみたら、どうでしょうか。
「警察の厳戒態勢のなか、暴力団主催の野球賭博が執り行われた」
これは明らかに変ですよね。警察は何やってるんだという話になります。
実は賭博と同様、暴力団はお葬式をやってはいけないのです。正確に言うと、葬儀屋さんは暴力団のお葬式を受注することができません。
つまり、冒頭の報道のケースの場合、本来なら警察は葬儀屋さんが葬儀を行うことをやめさせないといけないのです。
なぜなら、ここ10年ほどの間に各自治体により施行された暴力団排除条例によって、葬儀屋さんに限らず、企業は暴力団との商取引を禁じられているからです。
この条例の理念は正しいのですが、ことお葬式に関してはやっかいな問題が生じます。
当然のことですが、暴力団員もいつかは必ず亡くなります。定年があると聞きませんが、在職中(?)の死亡率は他の職種より格段に高いはずです。そのときに、専門知識と経験を必要とするお葬式を暴力団員だけで執り行うのは不可能です。葬儀屋さんの手を借りなければいけません。
つまり、他の商取引と異なり葬儀屋さんとの取引は避けて通れないのです。でも、条例は葬儀屋さんが暴力団と取引することを禁じています。では、どうすればいいのでしょうか?
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