イングランドvsウェールズ EU離脱の国民投票より大注目“英国ダービー”の舞台裏
試合結果は上述の通り。残念ながらプライドと意地をかけた大一番で失意の逆転負けを喫したウェールズ。しかし、彼らの負け姿はとても爽やかな印象を残した。それは、ピッチで戦った選手だけはない。声を枯らして声援を送り、祈ることでチームに忠誠を誓うサポーターたちも同様だった。
そもそもコワモテで知られるイングランドサポーターと比べると、ウェールズサポーターたちからは他者を威圧するような雰囲気が発せられていない。今大会が初出場となる代表チーム同様、サポーターたちもまだイマイチ場慣れできていないのだろう。そんな彼らの応援のなかで特に忘れ難いのが、金管楽器による演奏。試合途中にロッキーのテーマとしておなじみの『Gonna Fly Now』や『君の瞳に恋してる』といったポピュラーソングを金管楽器で奏でる場面もがあり、あまり馴染みのない応援方法に会場は敵味方関係なく祝祭ムードに包まれたように感じられた。
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試合終了後、万雷の拍手で選手たちを迎える観客席。並々ならぬ思いを込めた一戦に負けて悔しくないはずはない。しかし、選手と観客、お互いの見る眼差し優しく、ピッチを去る間際、チーム全員で円陣を組んでいた選手たちの姿が見えなくなるまで「ウェールズ!」のコールは鳴り止まなかった。
その後、劇的な試合展開に興奮した両国サポーターが大騒ぎをするかと思われたが、その予想はいい方向に裏切られる。観戦を終えた両国のサポーターはお互いの健闘を讃えあうかのごどく、異なるユニホームを着た男たちが笑顔で言葉を交わし合う光景がランスの街の随所で見られた。
厳重な警戒の中で行われたグループリーグ最注目の一戦は、サッカーの母国による鮮やかな逆転勝ちとともに最高のグッドルーザーの姿を見せてくれたわけだが、日本時間24日の正午から夕方にかけて大勢が判明する「Brexit」のほうは、残留にしろ離脱にしろ波乱必至は間違いないだろう。 <取材・文・撮影/日刊SPA!取材班>
●UEFA EURO 2016 サッカー欧州選手権 WOWOW
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