ヒットマンVSラモン@“ロイヤルランブル”――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第136回
ホーガンのプロレスも、フレアーのプロレスも、ブレットの目にはなんらサプライズのない退屈な映像のくり返しに映った。のちにブレットのアイデンティティーとなる“ザ・ベスト・ゼア・イズ、ザ・ベスト・ゼア・ワズ、ザ・ベスト・ゼア・エバー・ウィル・ビーThe Best ThereIs, The Best There Was, The Best There Ever Will Be”という定番のキャッチフレーズには、同じ試合は2度はお見せしませんという“品質保証”の意味がこめられていた。
ホーガンのいなくなったリングからは“ホーガン的プロレス”が段階的に削除されていった。ホーガンの後継者としてのポジションを約束されていたアルティメット・ウォリアー、セッド・ジャスティスといったいわゆる“ステロイド系”の筋肉マンが姿を消し、ホーガンと同世代の“マッチョマン”ランディ・サベージも現役生活を“保留”にした。
ブレット、ショーン・マイケルズ、アンダーテイカー、ラモンらホーガンよりもちょっとだけ若いスーパースターが自由な発想でメインイベンター・クラスを占拠しはじめると、WWEのリングからようやく80年代カラーが消えた。ビンス・マクマホンは、1957年生まれのブレットをリーダー格としたこのグループを“ニュー・ジェネレーション”と名づけた。
ブレット対ラモンのタイトルマッチは、ブレットが想い描くところのプレーンでシンプルで、しかも目の肥えた観客のイマジネーションをくすぐるレスリング・マッチだった。
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