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ヒットマンVSラモン@“ロイヤルランブル”――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第136回

 ブレットのシグナチャー・ムーブはシャープシューター(左足からのサソリ固め)で、ラモンのそれはレーザーズ・エッジ(ハイアングルからの投げっぱなしパワーボム)。ブレットがありとあらゆるフォームからシャープシューターを狙えば、ラモンはそれをひとつずつディフェンスし、ラモンはラモンでありとあらゆる角度からレーザーズ・エッジを狙い、ブレットがこれを巧みにカウンター技で切り返していった。ありそうでなかったパズルのような攻防が観客のサイコロジーを刺激した。  17分59秒のシーソーゲームは、ブレットが後方回転エビ固めの体勢からシャープシューターへの移行でラモンからギブアップ勝ちを奪った。  ブレットの父親で“カルガリー・マットの父”スチュー・アートさん、母親のヘレンさんがこの試合をリングサイドから観戦した。チャンピオンの両親がリングサイド席に座っているという光景は、1990年代のWWEの新しいワンシーンになった。  WWE世界ヘビー級選手権のすぐあとには、30選手出場の時間差式・変則バトルロイヤル“ロイヤルランブル”がラインナップされていた。  “ロイヤルランブル”の優勝者がWWE世界王座への挑戦権を獲得し、春のスーパーイベント“レッスルマニア”のメインイベントに駒をすすめるというトラディションがスタートしたのはこの1993年大会からだった。変則バトルロイヤルは、意外なレスラーが優勝をさらった。(つづく)
斎藤文彦

斎藤文彦

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