“視聴率”対“PPV契約世帯数”のメカニズム――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第207回(1996年編)
新コーナーの登場人物はハックスターとナチョーマンとビリオネア・テッドの3人で、キャラクター設定は老人になったハルク・ホーガン、“マッチョマン”ランディ・サベージ、そしてWCWの親会社TBSオーナーの“テレビ王”テッド・ターナーだった。この3人がとある巨大企業のとある会議室でなにやら密談を交わすシーンがミニ・ドラマになっていた。
ミニ・ドラマのエピソード1が放映された1月1日オンエア分はほんのイントロダクション的な内容だったが、翌週1月8日オンエア分では“億万長者”テッドの「WCWにはステロイド検査はないよ」という発言にハックスターとナチョーマンが大喜びするという“問題のシーン”が収められていた。
実況アナウンサーとして“ナイトロ”の司会・進行をつとめていたエリック・ビショフWCW副社長は、同夜放映分(生中継)の番組内で「WCWはドーピング・テストを実施しています」とコメントした。
WWEのアプローチにWCWがすぐに“反応”するという展開はビンスにとっては想定内のできごとではあったが、どうやらアメリカじゅうのほとんどのプロレスファンはリモコンを手に“ロウ”と“ナイトロ”のチャンネルを行ったり来たりしながらふたつの番組を同時に視聴していた。
1月8日オンエア分の“ロウ”の平均視聴率は3.0パーセントで、“ナイトロ”の平均視聴率は2.8パーセント。翌週1月15日オンエア分ではこんどは“ロウ”の平均視聴率2.4パーセントで“ナイトロ”の平均視聴率が3.5パーセントという数字をはじき出した。
この1月の2週分の視聴率は“ロウ”“ナイトロ”のいずれの番組にとっても“月曜TVウォーズ”がスタートを切って以来、最高の数字だった。1.15“ナイトロ”の番組内でビショフは「これからビンス・マクマホンに電話をする」とコメントし、じっさいにビンスの携帯電話(とされる番号)に連絡を入れたが、WWEサイドはこれを無視した。
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