『あまちゃん』演出の吉田照幸監督「仕事で変わるためには、まず自分の短所を認めること」
作家・東野圭吾のミリオンセラー小説が阿部寛主演で映画化され、11月26日に映画『疾風ロンド』が公開される。監督を務めるのは、NHKで「あまちゃん」や「サラリーマンNEO」の演出を担当した吉田照幸監督だ。
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本来自分がやりたかったというドキュメンタリーの道ではなく、演出家そして映画監督として、ドラマや映画で才能を発揮できるようになったきっかけとは?
――東野圭吾さんの原作はサスペンス要素の強い作品ですが、そこにコメディの要素を落とし込むために工夫されたことを教えてください。
吉田照幸監督(以下、吉田):まずキャラクターの笑いにしないということですね。キャラクターを思いきり立てちゃって、そのキャラクター自体を笑うのではなくて、人間関係、もしくはその人の欲求が叶えられないとか、どうしてもそういうことをしてしまうとか。これはある有名な演出家の言葉ですが、だいたいの笑いって人の不幸か、隠された真実か、そのあたりの笑いですよね。
僕がやってきた「サラリーマンNEO」は、基本的に普通の人しか出てこないので、笑いは関係性の中にあります。文句を言いたいけど言えない間柄だからこそ、何か言われたときに腹が立つというのが笑いになるわけじゃないですか。でも普通だったら、言われたら腹が立つところで終わるはずなんです。だから言いたいのに言えない状況を作ることによって、笑いが起こっているわけです。
――今回の映画『疾風ロンド』では、売れっ子小説家の東野圭吾さんが原作を書かれていますが、映像化するプレッシャーは感じられたのですか?
吉田:プレッシャーは感じたことがなくて、楽しみしかないですね。この原作を映像にする上で、どうやったら面白くなるかということしか考えてないです。それとともに、原作もので普段不満だったのが、原作とまるで違うものが映画で出来上がることがあって、「いや、いくらなんでもそれは……。原作使ってやる意味あるんだっけ?」と思っちゃうわけです。もちろん原作は変えるんだけど、原作のエッセンスを、より映像として面白くするために変えるんだと考えています。
例えば、原作には母親がいたんですが、親1人、子1人に、脚本は最初に書き直させてもらいました。それは、あの2人のギクシャクした関係は、短い時間だとそのほうがわかりやすいから。小説では時間があるから書けますが、映画では描けないからそういう点を変えていく。それは、2人の関係をうまく表現するためです。

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