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亡命中国人漫画家からみた「アパホテル抗議デモ」が失敗だった理由

在日中国人のデモが失敗だった理由

 全体的に見て中国人愛国者たちのデモは大失敗だったというのが私の評価だ。沈黙のデモという戦略は衝突を避けることはできたかも知れないが、まったく勢いを感じさせなかった。まるで保守系団体に取り囲まれて連行される囚人のように見えた。最大の失敗はデモの企画段階にある。発起人は中国大使館に電話して相談していたのだ。「安全に注意して、法律を守ってください」との返答があっただけというが、この電話はデモに対するクリティカルな批判ポイントになっている。独自に企画して政府の支持を受けない民間のデモを行ったと言っておきながら、なぜ中国大使館に連絡する必要があるのだろうか? もし「日中両国の友好な関係のため、デモは実施しないでください」と大使館が返答していたら、彼らは中国政府の意志に背いてデモを敢行できたのだろうか。  また、カウンターデモの側を見ると、友人の古川さんのようにプラカードを掲げて言論で批判した人もいたが、その一方で突撃を繰り返す保守系団体関係者の姿も目立った。そうした行動はまったく必要がないものだ。温和な日本国民の目から見ると、暴力的なほうが負けとみなされる。もっと別な方法を考えるべきだったと思う。  在日中国人たちはデモの前にはおびえていた。微信にはおびえる気持ちや励ましの言葉が数多く書き込まれていた。その中の一つに「日本でのデモが怖いものか。天安門じゃあるまいし」というものがある。いやはや、これはずるいとしか言いようがない。彼らも中国ではこうしたデモができないことをよく知っているのだ。SNSのグループチャットにはある在日中国人ジャーナリストも加わっていた。中国共産党とつながりがあると噂されている人物だ。彼はこのように書き込んでいる。「日本は言論の自由が守られる国です。たった一回の平和的デモの参加を理由とした迫害は、日本のどんな政府機構もできませんし、やろうとしても法的根拠がありません。ですから皆さんは安心してください。」  私は在日中国人の愛国者たちによるデモと集会の権利を支持する。ただ日本で愛国をアピールする時、本当の「愛」とはなにかを考えて欲しい。本当の愛国とは国民の権利が奪われないような国にすることではないだろうか。  デモをしたと胸をはるのはいい。だが周囲の日本人からは「日本にきたから言論の自由が得られたのだろう」とバカにされる時、自国の言論の自由を求めたことなどないことに気がついた時、中国共産党に連なる人物に日本の言論の自由を利用するよう促された時、恥ずかしいという気持ちにならないのだろうか? <文/辣椒>
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