雑学

亡命中国人漫画家からみた「アパホテル抗議デモ」が失敗だった理由

亡命中国人漫画家・辣椒(ラージャオ)「私はなぜ祖国に捨てられたのか」VOL.1

風刺漫画はネットではなく、リアルでこそ輝く


 はじめまして、辣椒です。私は現在、日本に暮らしています。

 出身は中華人民共和国の新疆ウイグル自治区ですが、ウイグル族ではなく、漢族です。

 2009年から「变态辣椒」のペンネームで、ネット上に政治風刺漫画を発表し始めました。

 2011年のある時、中国共産党員による人民代表選挙立候補を応援する漫画を書いたため、私は中国共産党国家安全局に何度か訊問されることとなりました。訊問が続くうちにわかったことがあります。彼らは私の漫画に興味があるのではなく、組織活動や街頭運動をこそ恐れていたということです。

 その後も、私は漫画を通じて中国異見分子の抗議活動を支援してきましたが、政治漫画は単にネットで広めるだけではなく、街頭運動の最中にあってこそ大きな力を生み出すことができると悟ったのでした。街頭運動への参加こそが政治漫画の使命なのだと。

 そうして機会があるたびに、私は自作の漫画を携えてデモや集会に足を運ぶようになりました。

亡命中国人漫画家・辣椒(ラージャオ)「私はなぜ祖国に捨てられたのか」VOL.1

日本に来て参加した、初めての集会、デモ活動


 2015年6月、私は人生で初めて日本での天安門事件記念集会に参加した。

 活動家と一緒に中国大使館前で抗議し、改めて街頭運動の重要性に気づかされた。抗議活動後の記念集会で、私は「公に天安門事件の記念集会を開くことは中国ではできません。準備段階で逮捕されてしまうでしょう。このような会議に参加できたことは言論の自由の尊さを深く感じる機会となりました。今後も機会があるたびに必ず参加します」と語った。

⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1310505

亡命中国人漫画家・辣椒(ラージャオ)「私はなぜ祖国に捨てられたのか」VOL.1

2016年6月、東京で開催された「天安門事件27周年記念集会」で発言する辣椒氏

 2015年7月、私は平和安全法制に反対する国会前デモに何度も参加した。ここでも、集まった数多くの平和を愛する日本人に向けて私の主張を示した。

「平和は重要だが、日本には危険な隣国がいることにも注意してください。核実験を繰り返す北朝鮮のようなならずもの国家があります。人権派弁護士を根こそぎ迫害する中国のようなテロ国家もあります。適切な防衛力は絶対に必要です」

 無数の日本人を前に漫画を掲げる時、勇気を振り絞る必要があった。時に知人が付き添ってくれたこともあったが、基本的には私一人だったからだ。漫画を見た日本人にはうなずいて同意を示してくれる人も、何も反応を示さない人もいた。あいさつしてくれる人もいた。

 残念だったのは最後に参加した時のことだ。

 漫画の風刺がピリ辛すぎたのだろうか。デモスタッフが激しく迫ってきて一触即発の事態となったこともあった。警察が間に入ってくれて事なきを得たが、とても残念な出来事だった。

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アパホテル抗議デモ観察記

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