「生活保護不正受給はもっと多いはず」5回生活保護を受けたジャーナリストが語る真実
潜入 生活保護の闇現場』(ミリオン出版)がある
取材・文/林バウツキ泰人 写真/長田龍亮ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
また、64歳以下で病気や障害などの就労阻害要因がなければ、受給者は月に一度「求職活動状況報告書」を提出する義務がある。しかし、長田氏によれば生活保護を受け続けるため、嘘の報告をする受給者も少なくないんだとか。
「僕が入っていた施設でも、行ってもいない面接など、報告書に適当なことを書いている入居者がいました。たしかに生活保護を始めると依存をしてしまうのもわかる。仕事もせずにグータラ生活を続けていたらなおさらです」
貧困ビジネスと呼ばれるような低額宿泊は、就職活動を禁止していることが特徴だ。しかし、これについても長田氏は施設だけの問題だけではないと指摘する。
「環境的に就活は難しいと思われるかもしれませんが、本当にヤル気がある人はたとえ携帯電話がなくても、自分で仕事を探して施設を出ていました。役所に行けば、履歴書もタダでもらえるし、証明写真も撮ってくれる。大阪市ではスーツまで貸してもらえるんです」
就職活動にも消極的になり、なかなか生活保護から抜け出せない……。では、そんな状況を生み出す原因は、いったいなんなのだろう?
「若くて健康な体でも受給できるのは問題だと思います。生活保護はカネがなくて扶養してくれる人がいなければ、基本は受給できる。私は過去5回、生活保護の申請をしましたが、いずれも2週間の審査で受けることができました。結局、最後のセーフティネットの居心地が一番いいんですよ。食事は現物支給やフードクーポンにするなど、支援の方法はほかにもあるはずです」
本当に生活保護を必要としている人を行政側がふるいにかける「水際作戦」も問題だが、受給者が依存してしまう制度にも問題はあるようだ。
【長田龍亮氏】
’80年生まれ。偶然に手にした求人情報誌で「ユニティー出発」を知り、生活保護の実態を潜入調査する。著書に『1
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