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高まる「殺処分ゼロ」――猫の引き取り数と殺処分数が合わない理由

高まる「殺処分ゼロ」──猫の引き取り数と殺処分数が合わない理由

ボランティアにのしかかかる殺処分ゼロの負担

 小池都知事が掲げる、東京五輪までに実質的な殺処分数203匹(2015年度/犬10頭、猫193頭)をゼロにする目標も、ボランティアの存在なくして達成は難しいだろう。 「全国的に殺処分数が減少しているのは、法整備や行政の取り組みもありますが、各地で活動するボランティアたちのマンパワーによるところが大きいでしょう。東京都の場合では、東京都動物愛護相談センターの審査に合格した約50のボランティア団体(2017年4月現在)に譲渡されています」(春日氏)  ボランティアたちの献身的な活動により、殺処分は減少しているものの、彼らが引き取れる数にも限りがある。そして、すでにその限界を超えているというボランティアたちの声もある。このままボランティア頼みの譲渡が続けば、各自治体が取り組む殺処分ゼロの目標は、絵の描いた餅に終わりかねない。 高まる「殺処分ゼロ」──猫の引き取り数と殺処分数が合わない理由「日本には『動物の愛護及び管理に関する法律』(動物愛護管理法)という法律があります。“動物の愛護”という観点では、殺処分ゼロは大きな目標です。同時に“管理”の部分、飼い主の責任、適正な飼い方、終生飼養の法整備と普及に、もっと力を入れる必要があるでしょう。そして、大人だけでなく、子どもたちにもきちんと啓蒙することが、殺処分ゼロという明るい未来に繋がるのではないでしょうか」(同)  各自治体が殺処分ゼロに舵を切り突き進む中、ボランティアたちの血のにじむような努力と保護活動が現在も続いている。目の前の数字を達成することも重要だが、人と動物が共生できる真の社会を目指すのであれば殺処分ゼロだけでなく、同時に適正飼育や飼い主責任の啓蒙活動を強く推し進めるべきだろう。 文/中町きよみ、写真提供/春日走太
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