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PKO保険料は自衛隊員の自腹!? 駆けつけ警護とPKFで命を懸けても雀の涙

 PKFやとくに駆けつけ警護など危険なミッションに出る場合は、隊員たちが掛けている一般の生命保険は紛争地帯での死亡、事故などに対しては免責となっています。一般の生命保険では戦争や紛争地帯での死亡時・事故の場合の保障は支払い拒否される可能性が高いのです。  でも、自衛隊員も家族をもち生活があります。死亡時にまったく保障がなければ、イザというときに家族は生活に困ります。だから、PKF派遣時に隊員は特別な紛争時でも死亡保障がでる保険「PKO保険(商品名)」に入ったほうがいいと勧められます。  政府が隊員のために保険料を払うのではなく、隊員個人が自腹で保険にはいったほうがいいと言われるのです。ここは大きな問題だと思います。  その特別な「PKO保険」は最低の1000万の保障を得ようとおもうと、年間4万弱程度の負担を強いられます。最高額の1億円の保険にはいると月々1万5610円です。年間で18万7320円かかります。若い自衛官の1か月分の給料以上のお金が吹っ飛ぶのではないでしょうか。この自腹負担はかなりキツイわけですが、通常の生命保険が役にたたないのでは仕方ないので多くの隊員たちが自腹で保険にはいってからPKFに出向きます。 PKO保険料は自衛隊員の自腹!?……駆けつけ警護とPKFで命を懸けても雀の涙「え? PKO保険料の支払いって、隊員の自腹なのですか?」って、最初にこの話をきいたときには呆然として聞き直しました。 「命をかけて国の命令で危険な場所で働いているのに、保障は自腹ってどういうこと?」って耳を疑いますよね。でも本当にそうだったんです。  国のために命を懸けてくれる人に対して、日本国はあまりに薄情です。  不況の時代ですから、自衛隊の隊員だって生活がかかっています。 「最近の陸士の子たちは、しっかり貯金していますよ。先行き不安だから、毎月貯金している子が多い」と陸上自衛隊の幹部I氏が言っていました。  昔は「パチンコをして借金を作るようなやんちゃな子もいたのですが、今は真面目な子が多いですね。みんな自分の将来の生活のことをきちんと考えています。」  PKOに行けばボーナス査定などはよくなりますし、駆けつけ警護に参加すれば、防衛功労章がもらえる可能性があります。これがもらえれば、ほんの少し昇給が早くなるようです。  命がけで日本人を救出しても雀の涙。さすがにこれじゃ雀の涙すぎて、「ピーピー」泣いちゃいそうです。PKO保障については真剣に政府は考え直すべきです。<文/小笠原理恵>
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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