山本太郎が追及を広めた「安倍政治は米国の対日提言の“完コピ”」
<山本太郎氏インタビュー>
安保法制に関連した一連の参議院採択では、「ひとり牛歩」や「お焼香パフォーマンス」を行い物議を醸した参議院議員の山本太郎氏。日本は今後、どういう選択をするべきか伺った。
――米国追従の根拠となる、「アーミテージ・ナイ報告」について、追及を広めたのは山本議員だとの話があります。
山本:8月19日の安特委で「安倍政権の政策は、アーミテージ・ナイ報告の完全コピーではないか」と質問しました。その約1か月前に玉城デニー幹事長(沖縄3区)から「機会があったら質問したかった」と聞いたのがきっかけです。報告を改めて読んだら「(米国の要求の)完全コピーだ」「ひどいな」とびっくりしました。安保法制だけでなく、原発再稼働からTPP、特定秘密保護法、武器輸出三原則に至るまで見事に一致していたからです。経団連などアメリカの大企業側に立っている人たちにとって、ここに列挙された政策が必要ということがよくわかりました。
――国会審議で野党議員が「武器弾薬の輸送」についての中身を詰めていくと、銃弾や砲弾や手榴弾、果てはミサイルや核兵器まで条文上は輸送可能になっていることが明らかになりました。
山本:それで「誰が望んだのか」と追及されて、去年7月に集団的自衛権行使容認の閣議決定で憲法解釈を変えたのも、今回の安保法制が作られていくのも「『日米ガイドラインの改定』でアメリカから求められたことが発端だった」と政府は認めた。「米軍のニーズ」と抜け抜けと言うこと自体、安倍政権はおかしくなっている。この国は誰のものなのか。
今回の安保法制でも、安倍総理は米国議会で夏までの成立を約束しました。日本国内で言っていないことをアメリカに渡ってから宣言することが多い。麻生財務大臣が「日本の水道を民営化する」と’13年4月に宣言したのも、日本国内ではなく米国のCSISです。「おまえ、何さまだ」「おいおい誰が『国民の財産を勝手に民営化していい』と言ったのか」とツッコみたくなりましたが、「ここで発言したら実行に移すしかない」というように見えます。「宣言させられる」と言ったほうがいいかもしれません。結果、米国の対日要望を次々と受け入れている。
――日本は今後、どういう選択をするべきだと思いますか。
山本:米軍の準機関紙『スターズ・アンド・ストライプス(星条旗新聞)』は5月13日付で「アメリカの防衛予算は、すでに日本の自衛隊を当てにしている。’16年のアメリカ防衛予算は新法案可決が前提で、4万人の米軍兵員を削減、防衛予算も減らす方向」と書いてありました。米国の権威ある外交政策研究季刊誌『フォーリン・ポリシー』(7月16日付)も「日本の軍事面での役割が拡大、日本政府が多くの最新の装置を買うことは、ペンタゴンとアメリカの防衛産業にとって良いニュース」とあり、日本政府の購入予定兵器と社名を列挙していました。米国側が国防予算削減でカネがかからない上に、自国の国防産業の金儲けになるメリットを淡々と語っているのに比べ、日本側は悪夢の近未来図をひた隠しにしているのです。
――今回の法案成立で、PKO活動における「駆け付け警護」が可能になりました。
山本:イラクに派遣された自衛隊員のうち、(退職者を除く)自衛隊員の自殺者は合計56人。一方、アメリカの退役軍人省は’10年度予算としてメンタルヘルス対策費45億6000万ドルを組んでいます。これほどの予算が日本でも必要になることを安倍政権は考えているのか。予算がつけば、他の社会保障費が削られるのは必至。日本は結局、戦争国家になって財政破綻することになりかねないのです。
【山本太郎氏】
’74年生まれ。俳優を経て’13年に参議院議員に。現在、「生活の党と山本太郎となかまたち」に所属
― 安倍政権[アメリカ追従政策]悪魔のリスト ―
【関連キーワードから記事を探す】
自衛隊は「情報開示請求のできる行政組織」であり、軍事組織ではない
PKO保険料は自衛隊員の自腹!? 駆けつけ警護とPKFで命を懸けても雀の涙
一般市民も情報開示で『知る権利』を行使すべき――自衛隊日報を開示したジャーナリストが語る
戦闘か、武力衝突か?「稲田防衛相、現地をちゃんと見てください」と南スーダン支援NGOスタッフが訴える
山本太郎が追及を広めた「安倍政治は米国の対日提言の“完コピ”」
肩入れから一変…沖縄メディアが翁長知事に辛辣な批判を浴びせる理由
「沖縄の米軍基地を大阪で引き取る」運動の波紋 “他人事”から“自分事”としての議論に大きな反発も
「本土で基地を引き取る」運動が、安保法制を考え直す出発点に
日本国憲法は“欠陥品”!? 中国人漫画家が語る「改憲勢力3分の2に期待すること」
都知事選で埋もれてしまった横田基地の「空域返還」と「軍民共用化」問題
日本政府のコロナ対策を風刺し続けてきたマンガ家が見る「日本のコロナ禍」
許すな、「認諾」による「森友問題」赤木さん自殺の真相隠蔽<弁護士 弘中惇一郎氏>
安倍政権から始まったデータ改ざんの深刻度<弁護士・明石順平>
「緊急事態条項」が必要だという嘘と勘違い<法学者・小林節氏>
またしても無意味な政府の新型コロナ対策。「内閣官房モニタリング調査」が使い物にならないワケ
イラク戦争から20年、いまだに開戦支持の過ちを認めない日本政府
参院選の隠れた争点「原発再稼働」。原発攻撃のリスク回避かエネルギー確保か
巨人を応援する阪神ファンの姿を見て思う「野党共闘」の難しさ/相澤冬樹
失業率10%で殺伐とした社会に…山本太郎が語る、コロナ感染以上に人を殺すものとは
対抗馬の票が割れる混乱のなか現職から東京を取り戻せるか/鈴木涼美
石丸伸二旋風のウラに、選挙プランナー藤川晋之助氏がいた。「政治家がどうなろうと関係ない」と語る“選挙の神様”
男が選ぶ「好きな/嫌いな政治家」ランキング。1位の人物には「国民を苦しめた最悪の政治家」との声も
実は公明党のTikTokはアツい!“SNS人気”を狙う政治家との賢い向き合い方とは?
政界のXフォロワー、意外なトップ30。河野ブロック太郎に次ぐ2位、3位は誰だ?
SNSがうまい/ヘタな政治家は?もはやYouTuberの玉木、キモキャラを生かせない石破……
手取り15万円、ブラック職場…半年以内に1割が辞める「定年自衛官」のキツすぎる再就職事情
「汚れた東京湾を8キロ泳いだ」防衛大卒の女性が語る学生生活。学内の“恋愛事情”も
「即応予備自衛官」の待遇改善は進んだのか?給与の支払いまで半年かかった例も…
28歳・元自衛官が民間企業に転職したら後悔の嵐だった理由
現役自衛官はなぜ勲章をつけていないのか?海外軍人と大違いの実情
手取り15万円、ブラック職場…半年以内に1割が辞める「定年自衛官」のキツすぎる再就職事情
「汚れた東京湾を8キロ泳いだ」防衛大卒の女性が語る学生生活。学内の“恋愛事情”も
海外から注目されている「日本の兵器」。見本市で見た、意外なメーカー14社とその評判
賛否で割り切れない沖縄の基地問題。「住民への説明さえしてくれない」石垣島の現在
「アメリカも自衛隊も助けてくれない」石垣駐屯地に反対する86歳の確信