人々はなぜ「フェイクニュース」に騙されるのか? “マスコミが伝えない真実”を枕詞に、世界を席巻中
改ざんされた写真や嘘情報などが拡散され、時には国際・政治問題にまで発展するフェイクニュース。それを信じてしまう人とは一体どのような人か?
ニュースの体をとり、ねつ造された情報や嘘を流す「フェイクニュース」が世界を席巻している。精巧に作られているものは、有識者ですら騙されてしまう場合もあり、判別が年々難しくなっている。
社会学者の松田美佐氏はフェイクニュースを「ネット上で広がる、ニュースに見えるサイト発の偽りの情報」と位置付ける。
米大統領選で話題となったフェイクニュースだが、なかには過去に戦争をした隣国に関するものや、レイシズムに根ざすものもある。
「『我々とは違い、奴らは理解不能な敵である』とすることで分断が行われ、受け手側は『仲間』としてまとまることができる。これは日本以外でも、どの国でも起きます。古くから戦争を起こす際に使われている手段です」
また、そうした情報は、“マスコミが伝えない真実”という枕言葉が使われやすく、東京電力福島第一原発事故に関しても多用された。
「そういうものを信じる人は“マスコミは政府の都合のよい情報しか伝えない”と思っています。最初から自分にとっての一定の結論があり、それに沿わないものは誰が伝えても“真実ではない”のです」
つまり、報道機関や政府が流す情報を過度に警戒するあまり、かえってフェイクニュースを信じてしまうことになる。例えば「原発事故の影響で人が住めない」となった場合、福島県のどこの地域がリスクがあるのか、どんな食べ物で放射性物質が検出されたかを細かく見ることが必要だ。しかし、安易に福島県全体の問題にしてしまい、住んでいる人たちの考えや状況に目を向けることがない。
「自分の主張に合ったネットの情報は利用するが、マスコミの報道を含め、さまざまな情報に接触しないなら、フェイクニュースを信じやすくなる。見出しだけで判断したり、情報ソースを調べないならなおさらです」
【社会学者・松田美佐氏】
東京大学卒。中央大学文学部教授。専攻はメディア・コミュニケーション論。著書に『うわさとは何か ネットで変容する「最も古いメディア」』など
―フェイクニュースに騙される人の特徴 ―
ガセネタを信じてしまう人が生み出される構図とは
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