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アメリカ人はなぜフェイクニュースとファクトを見極められないのか?【町山智浩インタビュー】

「私はCNNが“フェイク・ニュース”だとは思っていない――」

 2月7日、トランプ政権の「ブレーン」の一人と言われるケリーアン・コンウェイ大統領顧問はCNNのインタビューにこう答えた。

 トランプ大統領が就任直前に行った記者会見で、CNNのジム・アコスタ記者の質問を無視し「CNNはフェイク・ニュースだ」と言い放つ映像が繰り返し流されたが、トランプ政権と米国メディアの溝が深まるなか、コンウェイ氏が少しだけ歩み寄る姿勢を見せた格好だ。

ブライトバート・ニュース

ウェブサイトの利用状況に関するデータを調査するアレクサ・インターネットによると、世界のニュースカテゴリーのなかでブライトバートは上位50位に入るほどの規模を誇っているという(写真/日刊SPA!))

 だが、トランプ政権とテレビや新聞など大手メディアの「醜聞合戦」はこれで終わることはないだろう。これに先立つ1月29日にも、トランプ大統領が自身のツイッターで「落ち目のフェイク・ニュース、ニューヨーク・タイムズは誰かが買収して正しく経営するか、尊厳をもって廃刊すべきだ」などとメディア批判を展開しているからだ。

「殺人事件の発生率は過去47年で最悪」「500万人の不法移民がヒラリーに投票した」「大統領就任式に150万人集まった」……など、これまで米国メディアは、トランプ氏が事実に基づかない主張をするたびに「反証」を繰り返してきた。だが、トランプ支持者はそれらの検証に耳を傾けないばかりか、大統領選真っただ中の昨年9月に米世論調査大手のギャラップ社が行った調査では、メディアを信頼する米国民の割合は1972年の調査以来最低の32%を記録。共和党支持者に限ると、わずか14%まで落ち込んでいるという皮肉な数字も出ているのだ。

 平気で嘘をつく権力者。だが、ウオッチドッグたるメディアがいかにその嘘を正そうとも、民衆はメディアのほうこそ嘘つきだと信じ込んでいる……。

 米国の人々は、なぜここまでファクト(事実)とフェイク(嘘)すら見極められなくなってしまったのか? 米国在住のジャーナリストで映画評論家の町山智浩氏が話す。

「今、米国では大量のフェイク・ニュースがネットで垂れ流されており、もはや何が真実かわからなくなりつつあるような状況です。米国にはファクト・チェックのサイトがいくつもあるのですが、意に沿わない主張が書かれてあると『あそこのサイトは〇〇の息が掛かっている』などとレッテルを貼られ、潰されてしまうような事態も起きている。大統領就任式の観衆の数について、トランプは『過小に報じた』とメディアを非難しましたが、後にオバマの就任式に比べて少なそうだということがわかっても、ホワイトハウスの報道官は『Alternative Fact(もう一つの真実)』という言葉に置き換えて主張を曲げなかった。

昔なら、ニューヨーク・タイムズやワシントンポスト、CNNやNBCが『これが真実』だと報じたら、皆がそれを信用したが、トランプの支持者は、トランプから嘘つき呼ばわりされている大手メディアの言うことは信じないのです。現在のような状況は当然トランプ政権には有利に働いているわけですが、このように『もう一つの真実』という嘘を作り上げ、大手メディアに対する不信感を煽り続けてきたのが、トランプ政権のブレーン、スティーブン・バノンです」

 TPPからの永久離脱、「オバマケア」の廃止、メキシコ国境での「壁」建設、さらには、イスラム圏に対する「入国禁止令」など、トランプ大統領が次々と出す大統領令をドラフティングしているのが、現在、政権の『影の大統領』とも揶揄されているバノン首席戦略官兼大統領上級顧問兼NSC(国家安全保障会議)常任委員だ。昨年8月、大統領選で人気に陰りの見えたトランプ陣営に選対本部長として加わり、トランプを逆転勝利に導いた最大の功労者と言われたバノン氏は、現在権力の中枢に潜り込み、米国の未来を左右する立場にある政権最大のキーマンとも言われている。町山氏が続ける。

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ヒラリー陣営には大きな痛手

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