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噂話が一人歩きしていた伝説の「売春島」が壊滅寸前

全盛期の売春婦は300人!? 噂が噂を呼ぶ都市伝説の島

 今では寂れたといえど、全盛期の渡鹿野島は本当に夢の島だったのだろうか。高木氏は「噂が噂を呼び、実情は伝えられていない」ともいう。 「全盛期はストリップ小屋が2軒、パチンコ屋も1軒、一時はボートレース場を作ろうという計画もあり、これがもし実現していたら、それこそ飲む、打つ、買うができる男の楽園だったでしょうね。ただ、女のコの数については“尾ひれ”が付いていて、全盛期は200~300人の売春婦が置屋にいたと言われていますが、実際は置屋の数は12軒程度、女のコも総勢で60人くらいだったというのが実際の話です」  その後、バブル崩壊で客足が遠のくも、島はまたおかしな方向へと進む。 「バブル崩壊で失った客を取り戻そうと置屋のコたちを使って、さまざまなショーなどを催しました。レズショーや芸者ショーなどをホテルの宴会場で行い、客たちはそのまま気に入ったコを指名しました。今で言うスーパーコンパニオンの先駆けですね。これが話題になり、バブルで遠のいた客足が随分と戻ったのです」  こうした過激なショーを仕掛けた人物はなんと元警察官だという。 「Aさんという、元警察官がレズショーなどを考案したとされます。Aさんは元々は三重県警の警察官だったのですが、いつしかこの売春島で置屋を経営し、アイデアマンとして名を馳せたのです」  だが、結局はAさんもこの世を去り、渡鹿野島は凋落の一途を辿ることとなる。現在、渡鹿野島は売春島という過去と決別するようにさまざまな取り組みが成されているという。

空き物件となった置屋がそこかしこに散見する。格安物件と貼り紙があるが借り手は現れない……

「鮮魚を扱う市場もなく、砂浜は人口、温泉はかろうじてある……。島は過去から脱却するように、観光会社などと組んで、さまざまな取り組みを行っています。実際、いくつかの取り組みは成果を出しているとも聞きます。あくまでも、私の取材した感想では、売春だろうが観光だろうが、島民たちが1つの方向を見て進んで行かなければ、この島の未来はないような気がします」  あと何年かしたら、この島が売春島だったことを知る者もいなくなり、都市伝説のように語られるのかもしれない。
売春島

高木氏渾身のルポ『売春島』は、これまで表に出なかった渡鹿野島の素顔を描き話題となっている

【高木瑞穂】 裏風俗やJKビジネスなど社会、風俗の犯罪事件を取材するルポライター。SPA!本誌でもさまざまな分野の記事で活躍。三重県の渡鹿野島をルポした『売春島~最後の桃源郷 渡鹿野島ルポ』(彩図社)が好評発売中 取材・文/長谷川大祐(本誌) 写真提供/実話ナックルズ
日刊SPA!編集。SPA!本誌では谷繁元信氏が中日ドラゴンズ監督時代に連載した『俺の職場に天才はいらない』、サッカー小野伸二氏の連載『小野伸二40歳「好きなことで生きてきた~信念のつくり方~』、大谷翔平選手初の書籍となった『大谷翔平二刀流 その軌跡と挑戦』など数多くのスポーツ選手の取材や記事を担当。他にもグルメ、公営競技の記事を取材、担当している
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