更新日:2022年11月25日 23:33
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年収250万円以下、“東京六大学”卒の30代雑誌ライター「仕事はないけどギャラの安い記事は書きたくない」

プライドが邪魔をして「もう書きたくない」

 出版社が苦戦するなか、ネットメディアの時代が到来した。アフィリエイトなどネットならではのメリットを見出した企業や個人が媒体や記事を量産したことによって、パクリや信憑性の低い記事が目立つようになった。  ライター経験のないひとたちが数百円程度の単価で書いていたことも明るみとなり、大問題となったことも下田さんを「書く仕事」から遠ざける一因となっていた。 「あんなんだれでも書けるから、オレは書かない」  筆者自身も「ギャラは1本2000円ですが、月50本以上書けば3000円にアップします」という案件を打診されたことがある。企業が自らネット媒体(オウンドメディア)を構えて情報を発信するようになった。雑誌に広告を出稿する必然性が少なくなり、出版社を支えていた広告収入は激減したわけだが、そのぶん予算がネットに流れているともいえる。  なかには1本数万円から数十万円のギャラで仕事をしたこともあるので、雑誌にこだわらなければ、この先も「書く仕事」で食べていける可能性はじゅうぶんにあるだろう。  とはいえ、ネットでの仕事だけに、その界隈につながりがなく、SNSを含むネット上になんの情報も出てこないひとや、著書などのポートフォリオの代わりになるものがないひとにいきなり大きな仕事が舞い込むわけがない。    実際のところ、下田さんは雑誌の仕事ですら「バイトが忙しいから取材して書く時間がない」「小さな仕事では書きたくない」「得意分野しかやりたくない」という。高学歴で海外の広告まで手掛けたというプライドが邪魔をした挙げ句、もはやライターの仕事ではまったく稼げなくなってしまった下田さん。ついに昨年、バイトリーダーから正社員になることが決まったそうだ。 「メディアの仕事に未練はない。まあ、オレのことは好きに書いてくれよ。どうせネット記事は見ないから。もしもキミが将来困ったら、うちで働けばいいよ」  筆者と下田さん、10年後の未来はどうなっているのだろうか。<取材・文/藤山六輝>
ライター・編集者。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』(共に彩図社)など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ【最新版】』(辰巳出版)がある。Twitter:@gold_gogogo
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