更新日:2022年12月10日 18:40
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2050年、海は魚よりプラスチックゴミのほうが多くなる!? 海洋汚染の実態

海水から取り除けない「マイクロプラスチック」

「やっかいなのは、さらに5mm以下まで砕かれた『マイクロプラスチック』の存在です」と語るのは、マイクロプラスチックによる海洋汚染の研究を行っている、東京農工大の高田秀重教授。

太平洋で採取されたマイクロプラスチック片

「これはごみ拾いなどでは解決できません。動物プランクトンと同じくらいの大きさのマイクロプラスチックは海水中から取り除くことは不可能。これが生態系全体を汚染しているので、魚や貝などに蓄積したプラスチックが、それを食べた人の体にも入ります」  その発生源には、海洋で細かく砕かれたもの以外にも、洗顔剤や化粧品に配合されている「マイクロビーズ」と呼ばれる細かな粒や、ポリエステルなどの化学繊維の洗濯くずなども含まれるという。 「これらが下水に流れ、大雨で増水したときなどに河川や海に流出します」

下水から流出し、東京湾海中から採取されたマイクロビーズ

 さらに「プラスチックは消化されず体外に排出されるのですが、今後は人体にも影響を及ぼすことが懸念されます」と高田教授は語る。どういうことだろうか。 「プラスチックには環境ホルモンなどさまざまな有害化学物質が添加剤として使われているうえ、海水中にある微量の有害物質も吸着してしまうのです。プラスチックは、周りの海水に比べて有害物質を100万倍程度まで濃縮します。そしてその物質が、プラスチックを食べた生物の脂質に蓄積されます。現在はまだ人体に影響をおよぼすかどうかは国連が調査を始めたばかりで、結果は出ていません。しかし、このまま海水中のプラスチックが増えていけば、プラスチックからもたらされる有害物質の量もどんどん増えていくでしょう」
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