新東名が全線開通したら渋滞の新たな火種になるかもしれない理由
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
2月1日、圏央道外回りから、いつものように東名上りに合流しようとJCT分岐路に入ったところ、なぜか東京方面がナイ!
「あれ、分岐を見過ごして通り過ぎちゃったかな?」
高速道路研究家ともあろう者がお恥ずかしい。勝手に赤面しつつ、「厚木で降りてUターンしよう」と思っていたが、どうも様子が違う。
「あ、これって新東名じゃんか!」
高速道路研究家としてダブルで恥ずかしいのだが、この4日前に海老名南JCT-厚木南IC間(2km)が新規に開通していたのを知らず、私は海老名JCTのつもりで、海老名南JCTで分岐してしまっていたのだ。
ただ、開通を知らなかったのも無理はない(断言)。なにせたったの2kmなので。「新東名開通」と言えば大動脈みたいに聞こえるが、現状は圏央道からピロッと盲腸みたいに伸びただけ。厚木ICや海老名JCTの混雑緩和に若干貢献する程度で、地元のドライバー以外にはほぼ無関係な開通だったのだ。
この盲腸線、2020年度中には御殿場JCTまでズバッと開通する予定になっている。今はまだ地元・厚木市南部の工場等へ向かう物流トラックや私のようなうっかり者が利用するのみで、車影もまばらのスカスカ状態だが、3年後には東名と並行する大動脈となる。
ただしこの大動脈、週末ごとに新たな渋滞を引き起こすのではないかと懸念している。
理由は、新東名が海老名南JCTで事実上の終点となっていることだ。つまり新東名を東京方面に向かってきたクルマは、海老名南JCTで圏央道外回りに乗り、約3km先の海老名JCTで東名に乗り直さねばならない。この複雑な分岐と合流が、クルマの流れを著しく阻害するのである。
ぶっちゃけ、海老名南JCTで新東名から東京方面(圏央道外回り)へ向かうクルマは、1車線に絞られる。もう1車線分は藤沢方面(圏央道内回り)方面行きだが、そちらは藤沢で終点になってしまうので、8割方のクルマは東京方面は向かうはず。つまり、ここでかなりの合流渋滞が発生する。
そこを越えても、今度は海老名JCTで渋滞する東名に合流しなければならない。東名は相変わらず海老名JCT-横浜町田間を先頭に渋滞しているはずだ。
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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