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オンラインパチンコは合法なのか? 運営元の会社を直撃してみた

景品交換はどうなっているのか?

 肝心のポイントと景品交換に話が及び、同社の担当者に法的にクリアしているのかを確認したところ、オンラインクレーンゲームと同種ということで問題ないという返答。だが、パチンコとゲームセンターの関係法令は同じではない。例えば景品を出す場合には、景品表示法の規制がかかってくる。さらにその景品が換金性の高いものなら、刑法の賭博罪に抵触する可能性もあるのだ。  こうしたリーガルリスクを同社はどう考えているのか、記者はさらに問いただした。なぜなら同社の系列会社のホームページ上には確かに「獲得ポイントは各種景品に交換できる」と明記されていたからである。
景品交換についての記述

IoTエンターテインメント社の系列会社のHPには、景品交換についての記述があったが…

 その点を指摘すると、担当者は一転して「ポイントは遊技に使えるのみに……」とし、ホームページも準備段階のものなので変更すると記者に告げたのだ。パチンコ新時代の到来をスクープできると高揚していた取材班は拍子抜けしてしまった。  換金できないポイント制の遊びだとしても、オンラインパチンコにはクリアすべきハードルがあるようだ。

店舗型は法的にOK オンラインではグレー

 パチンコ事情に詳しいPOKKA吉田氏は、メーカーの知的財産権についてこう指摘する。 「ネット経由で実機を遠隔操作するにはプログラムの改造が必要となってくるはずです。例えばゲームセンターの隅に置いてあるような改造パチンコ台のほとんどは、メーカーが許諾したものなので問題ありませんが、勝手に改造したとなれば話は別。遊技機の商標権や意匠権(装飾の権利)、プログラムの著作権などに抵触する可能性があります。過去、不正改造をめぐる事件では有罪となった判例がいくつもありますからね」  一方、ギャンブル関連法令に詳しい木曽崇氏は、オンライン上でのパチンコは現行の法律では違法とは言い切れないという。 「日本では現金もしくは現金化できる有価証券を賭けて賭け事をした場合は賭博罪にあたりますが、『一時の娯楽に供するもの』程度を賭けるぶんには罰されないという規定が刑法にあります。パチンコ屋では、風営法の定めるところにより一時の娯楽の範疇に収まる景品のみを扱っているので、合法であるというのが、パチンコ業界の主な考え方です」  だが、先述したように経産省の公式見解はオンラインクレーンゲームは風営法の適用外としており、オンラインパチンコも同様の扱いになる可能性が高い。 「仮に警察庁が、オンラインパチンコを取り締まるとすれば、景品表示法や賭博罪で攻めるしかない。ですが、そもそも風営法では合法とされているパチンコをオンライン上でやるだけのことですから、景品の交換行為が違法ならリアルパチンコ店の行為も違法になってしまう。オンラインパチンコを違法と断じるには、壮大な論争が必要になるでしょう」  アミュライブは、業界の将来を左右する大きな一歩を踏み出すことができるのか。要注目である。 【POKKA吉田氏】 ぱちんこジャーナリスト。パチンコ業界紙『シークエンス』の発行人・編集長。近著に『パチンコが本当になくなる日』がある。メーカーが主催するセミナーで講師も務めている 【木曽 崇氏】 国際カジノ研究所所長。日本では数少ないカジノ産業の専門研究者。近著は『「夜遊び」の経済学 世界が注目する「ナイトタイムエコノミー」』 取材・文/岡田光雄、野中ツトム(清談社) 長谷川大祐(本誌) ― オンラインパチンコ開店騒動密着ルポ ―
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パチンコが本当になくなる日

違法釘問題や爆裂機規制などで揺れたパチンコ業界。警察の思惑やホールの現状などを内部文書などを交えて暴露する。パチンコ問題の本質に鋭く斬り込んだ一冊。

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