ハーリー・レイス “ミスターNWA”という道――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第32話>
予想どおり、NWAの内部分裂が起きた。レイスは地元NWAセントラル・ステーツ地区(カンザス州)の共同プロモーター、B・ガイゲルと袂を分かち(1986年5月)、現役生活の最後の1ページをWWEのリングで過ごすことになる。
ビンス・マクマホンがレイスのために用意したキャラクターは、王冠をかぶりロイヤル・パープルのケープを身にまとった“キング”ハーリー・レイスだった。WWEでは元NWA世界王者としてのプロフィルは“抹消”された。
レイスは現役引退後、1991年からWWEのライバル団体WCWでマネジャーに転向し、ポール・オーンドーフ、レックス・ルーガー、ベイダーらのセコンドとして活躍したが、1995年の契約切れと同時に正式に引退。
WCWとWWEの“月曜TV戦争”と1990年代後半のレスリング・ビジネスのドラスティックな変化を体験することなく現場からフェードアウトした。
1999年にミズーリ州エルドンにレスリング・スクール“ハーリー・レイス・アカデミー・オブ・プロフェッショナル・レスリング”を開校し、現在はスクールの“卒業生レスラー”たちが活動するリングとして独立団体WWL(ワールド・レスリング・リーグ)を運営。
日本とのコネクションでは、全日本プロレスから独立する形で発足したプロレスリング・ノアのリングでGHCコミッショナーもつとめた。
●PROFILE:ハーリー・レイスHarley Race
1943年4月11日、ミズーリ州クイットマン生まれ。本名ハーリー・レランド・レイス。1959年、デビュー。得意技はオールドファッションなバーティカル・スープレックス(ブレーンバスター)、トップロープからのダイビング・ヘッドバット、ダウンした相手の額への鋭角的なニードロップ、サウスポー・スタイルのパンチ。1995年、引退。
※文中敬称略
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文/斎藤文彦
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