大株主・東京都へ最後のご奉公? 首都高新規開通の「オリンピック道路」の効果は信号待ち1個分+α
ただ、晴海線の下を走る有明通りから都心寄りの晴海通りにかけての一般道の状況を見ると、主に混雑しているのは晴海出口から銀座寄り。つまり晴海線は、あまり混んでいない区間を補完するのみだ。
混雑の激しい晴海通りの渋滞緩和に関しては、築地市場移転の延期によって開通が遅れている環状2号線にかかっており、晴海線延伸はまったく寄与しない。都心方面から豊洲市場へのアクセスに関しても、生命線は環状2号線で、晴海線延伸は無関係だ。
首都高速道路株式会社側は、今回約300億円かけて1.2km延伸したが料金収入の増加はほとんど見込めない。つまりこれは、「大株主・東京都への最後のご奉公」のようなものという見方もできる。
一方東京都側は、“小池劇場”で築地市場の豊洲移転を延期した影響で、環状2号線(都道)の開通をいたずらに遅らせてしまった。オリンピック開催時も、予定されていた旧築地市場の地下を通過するトンネルの開通は間に合わない。
ただ、市場の移転が今年10月中旬とようやく決まったため、移転後に築地市場の建物を取り壊し、環状2号線の暫定道路を地上に通す件に関しては、オリンピックに間に合う予定になった。
築地市場の移転延期が決まって約1年半。豊洲市場の安全性を叩いたことでブームを起こした小池都知事は、すでに「希望の党」からも身を引き、政治的には余生のような状態になっている。あの移転延期騒動は一体なんだったのかという思いは消えないが、とにかく環状2号線だけは、粛々とオリンピックに間に合わせてもらいたいものである。
取材・文・写真/清水草一
【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。2018年よりMJブロンディあらため永福ランプに改名。清水草一.com

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中 1
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