お金

資産0円は幸運なこと――「お金0.0」ビットコイン盗まレーター日記〈第10回〉

まただ。僕そっちのけで本当に楽しそうにスタンプを送り合うこの大人たち。 ロクなオトナじゃない。そこらへんのオッサンのおもちゃにされてたまるか。こんなことやってる場合じゃないんだ僕は。 A 「たつや」 僕 「はい」 A 「いま、僕らのこと、ロクなオトナじゃないって思ったでしょ」 僕 「!!!???…はい」 A 「正直でよろしい。検索してあれこれ調べてみ」 僕 「???はい」 —— — – A 「でもあれだね。調べないもんなんだね。俺なんか調べなくてもいいことも調べるけど」 B 「ですね(^^)」 A 「なんで調べないんだろう。自信家なのかな。あるいは人に興味がないのか」 B 「両方でしょうねー。自信と好奇心のバランスが取れてたらもっと人生お気楽かと(^^)」 A 「んだんだ」 チャット僕 「あの…」 A 「おっ。戻ってきた」 僕 「えっと…すみませんでした…。そこらへんのヒマなオッサンがあることないこと言いながらストロングゼロ片手に僕みたいな若造をからかってるんだと思ってました。おふたりとも、上場経験があるんです…ね…?」 A 「まぁ、あるっちゃある。Bさんは時価総額ウン百億の会社代表で僕とは同世代」 B 「はい(^^)」 僕 「ひどいですよー!Bさん編集長って言ってたじゃないですかー!」 B 「個人的にもマンガ事業に全力で取り組んでいて、すべての作家さんの作品に目を通してますから、編集長でも合ってます」 A 「大したもんだ」 僕 「あの…」 A 「はい。お金なら貸さない」 僕 「ちがいます。そんな、忙しそうなお二人が…なんで僕みたいになにもない人間の時間に付き合ってくれているんですか。だって、忙しい人ならもっと他にやることもあるでしょ? 僕に関わっても1円にもならないでしょ?」 A 「ソウネ」 僕 「じゃあどうして付き合ってくれるのでしょう。何かウラがあるような気がしてしまうんです…」 A 「んー。達也はアレだな。」 呼び捨てが定着した…。 僕 「はい?」 A 「カールビンソン級のバカでよろしい。」 僕 「!!!」 B スタンプ A スタンプ またスタンプ送り合って盛り上がってる…。 A 「あのね」 僕 「はい」 A 「何かを疑うときは、自分に資産があるときくらいでいいんじゃない? いまは幸運にもなにもないんだから、得るものしかない。世の中にハンパに賢い人はめちゃくちゃ多いけど、ハンパに賢い人ほど助け甲斐のない奴もないから、僕らは見向きもしないんです」 B 「カールビンソン級はレアですね」 A 「333mあるからね。デカい」 僕 「ありがとう…ございます…」 A 「あ、そうだ。言い忘れてた」 僕 「はい?」 A 「SPA!の編集者、スギナミさんに達也とのやり取りを送っておいたから、近々日程調整して編集部で打ち合わせしてきて」 僕 「へ?」 A 「へ?じゃない。連載を開始します」 僕 「え!!!!????」 次号へつづく
―[「お金0.0」]―
(いでの・たつや) 1994年、兵庫県生まれ。元かけだし俳優、高校卒業と同時に上京。文学座附属演劇研究所卒業後、エキストラ出演やアルバイト勤務を華麗にこなし、たまたま仮想通貨で得た大金を秒速で盗まれる。Twitterアカウント(@tatsuya_ideno
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