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アルティメット・ウォリアー “小説より奇なり”だった現代の神話――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第81話>

アルティメット・ウォリアー “小説より奇なり”だった現代の神話<第81話>

連載コラム『フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100』第81話は「アルティメット・ウォリアー “小説よりも奇なり”だった現代の神話」の巻(Illustration By Toshiki Urushidate)

 子どもファンからは愛され、マニア層の男性ファンからは敬遠された1990年代を代表するスーパーヒーロー系ベビーフェース。  完全なフィクションのキャラクターで、“究極の戦士”アルティメット・ウォリアーに変身したのは元“ミスター・ジョージア”のボディービルダー、ジム・ヘルウィグだった。  “ジュニア・ミスターUSA”コンテスト出場に向けてカリフォルニア州ベニスビーチの“ゴールド・ジム”でトレーニングをしているときに“自称スカウト”から「プロレスをやってみないか」と声をかけられた。  プロジェクト名はレスリング・カルテット“パワー・チームUSA”。金髪のオール・アメリカン、アフリカン・アメリカン、ネイティブ・アメリカン、ヒスパニック・アメリカンの4人組のタッグチームのなかのひとりとして、ウォリアーはネイティブ・アメリカンを演じるはずだった。  カイロプラクターになるための学校に通っていたウォリアーは、おもしろい仕事かもしれないと思ってプロレスを選択した。  いっしょにトレーニングをしていた4人のうちのふたりがすぐにやめてしまったため“パワー・チームUSA”計画は実現しなかったが、ウォリアーと金髪のスティーブ・ボーデンのふたりだけが“レッド・バスチェン道場”でのトレーニング・セッションを終えた。ボーデンは、のちのスティングである。  ウォリアーとスティングは1985年11月、顔にペインティングをほどこしたロード・ウォリアーズにそっくりのタッグチームとしてテネシーでデビュー。フリーダム・ファイターズ、ブレード・ランナーズといったチーム名を名乗った。  テネシーからルイジアナ-オクラホマ-アーカンソーの深南部エリアに転戦し、ルイジアナUWFをツアー中にウォリアーとスティングはコンビを解散してそれぞれシングルプレーヤーに転向した。  ウォリアーはダラスWCCWに移り、ここでディンゴ・ウォリアーに改名。1987年6月、WWEと契約後、アルティメット・ウォリアーに再変身した。  ウォリアーは“レッスルマニア6”のメインイベントでハルク・ホーガンを下しWWE世界ヘビー級王座を獲得した(1990年4月1日=カナダ・トロント、スカイドーム)。“超人”ホーガンの完ペキなフォール負けは歴史的なワンシーンだった。  “旧友”スティングがリック・フレアーを破って初めてNWA/WCW世界ヘビー級王者となったのはそれから3カ月後のことだった。やっぱり、ウォリアーとスティングは不思議な運命の糸で結ばれていたのかもしれない。  ホーガンからウォリアーへの王座移動ドラマのテーマはいうまでもなく“世代交代”だったが、じっさいにはこのふたりは6歳しかトシが離れていなかった。  WWE世界王者となったウォリアーは、WWE・全日本プロレス・新日本プロレスの3団体共同開催の“日米レスリング・サミット”(1990年4月13日=東京ドーム)に初来日し、“ミリオンダラー・マン”テッド・デビアスを相手に王座防衛戦をおこなった。  目の肥えた日本の観客はウォリアーのロボットのような動きにビックリし、“プロレスの達人”デビアスの完敗シーンにもショックを受けた。  26歳でプロレスラーになったウォリアーは、どちらかといえば“遅れてきたルーキー”だった。WWEは団体の命運をかけて新しい主人公のための舞台を用意したが、結果的にウォリアーはホーガンの後継者にはなれなかった。  デビューから4年5カ月でWWEの主役の座にかけ上がったウォリアーは、いつのまにか“取り扱い注意”の商品になった。
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本名を“ヘルウィグ”から“ウォリアー”に改名
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