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日本の「避難所=体育館」は難民キャンプ級。公費でホテルに避難できる国もあるのに

避難者は援助を受ける権利者

 あたしゃ、雷に打たれたようなショックを受けました。そ、そうか。ホテルに避難すればいいんだ。そうだよ。なんで、無条件に体育館とか小学校って決めてるんだよ。  災害や紛争の時に国際赤十字が避難所に対して提唱する最低基準を見てみると、日本の体育館避難生活は大きく下回ります。  一人当たりの空間もせまく、一人当たりのトイレも少なく、クーラーもない。なんと、紛争地の難民キャンプより状況がひどいのです。いやもう、驚いた。  国際赤十字は「*災害や紛争の避難者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利がある。*避難者への支援については、第一にその国の国家に役割と責任がある」と宣言しています。  つまりは、避難者は「援助の対象者(客体)ではなく、援助を受ける権利者(主体)として扱われるべきであり、その尊厳が保障されなければならない」ということなのです。  だから、ホテルなんて選択肢も簡単に出てくるのです。  日本で、避難民の快適なホテル生活がマスコミに報道されたら、どうなるでしょうか。いやもう、「災害さまさまだなあ」なんて悪意ある書き込みが増える気がしてゾッとします。でも、「援助してもらう」ではなく「援助を受ける権利がある」と考えるべきなのです。  そうすると、「避難所の運営や援助の方法については、可能な限り避難者が決定プロセスに参加し、情報を知らされることが重要とされる」となります。  避難民が求めるものと救援物資がすれ違ったり、生理用品が届かなかったりするのは、避難者が主体的に運営に関わってないために起こってしまうのです。  難民キャンプは貧しい国が多くてそれでも国際赤十字は、最低限、これだけは守りなさいと基準を提唱します。自然災害が多発するこの国で、紛争地のような経済的な貧しさもないこの国で、どうしてみんな、当然のように体育館生活を強いられるのか。いやもう、真剣に考えれば、驚くしかないのです。
ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

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