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柔道部の暴力的指導は傷害レベル…失神癖のついた元部員が告白

 日本大学チアリーディング部、女子体操界でのパワハラ問題が注目を集めている昨今。スポーツの世界では、まだまだ表面化していないブラックな問題が存在する。高校・大学時代を強豪な「柔道部」で過ごした筆者(20代半ば)が、実際にあった暴力指導体験談を綴る。

目をつけられたら最後

柔道 筆者が過ごした柔道部。そこには「理論」などという指導法は存在しなかった。あるのはただただシンプル。「気持ち」、「根性」などのいわゆる「精神論」のみ。そして練習に取り組むほとんどの人間が気にするのは指導者の視線だ。筆者が過ごした部活の練習において「強くなる」、「上達する」という目的は二の次三の次。とにかく監督に目をつけられぬよう風のように、空気のように存在することこそが目的となっていた。  そして目をつけられたら最後、その日の練習はまさに地獄そのものだ。

指導者の耳打ち。そして暴力的指導タイムが始まる

 ある程度力を入れている学校では、学校部活とはいえどその練習は本格的。監督のほかにも外部のコーチを雇うことも多い。外部のコーチは卒業生であるOBがつくことも多く、筆者の柔道部ではこの外部コーチこそが監督の「兵隊」として暴力指導を行う実行犯だった。  練習も中盤に差し掛かる頃。監督が外部コーチを自分の元へ呼び寄せ耳打ちをする。悪魔の耳打ちタイムである。この時、われわれ練習生の心中は恐怖と、そしてこの疑問で埋め尽くされる。 「今日の餌食は誰なのか?」

首を圧迫されて何度も失神する

 柔道部の暴力的指導。それは繰り返される絞め技の嵐である。それは「乱取り」と呼ばれる、互いが自由に技を掛け合う実践さながらの稽古の中で行われる。  柔道ではたびたび「落ちる」という言葉が使われ、これは絞め技により首を圧迫されることで失神することなのだが、実は締め落とされること自体はさほど辛くない。では何が辛いのか。それは「締め落とされるまでの過程」だ。  相手を締め落とすには頸動脈を圧迫する方法が一般的。しかし熟練したコーチともなると、わざと締め落ちない箇所を圧迫する。するとどうなるか。ただただ呼吸ができなくなる。これが最も辛く、多くの柔道家が苦しめられる行為なのである。  しかも、根性論が横行する柔道部。この絞め技で「参った」をするのはご法度というのが暗黙の了解だ。「参った」をすると根性無しというレッテルを貼られ、さらに過酷な指導が待っているので、皆苦しみながらも我慢するのだ。
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呼吸ができずに、目と顔に無数の赤い点々が
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