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新型ジムニーをみんなが欲しがるのは「見た目が無敵のおふくろの味」だから

 最近、玄人はもちろんクルマ素人のみなさんの魂を、これほどまでにゆさぶったクルマがあったでしょうか? 新型ジムニーは、そんな稀有なクルマであります。見た目がよくて、小っちゃくて、軽自動車だから安そう。MTの設定もあるからカーマニアも納得。だから大人気! さて、このジムニーはいくらで買えるのでしょうか? オートクラブMJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

新型ジムニーが玄人にも素人にも受けるのは形がおふくろの味だから

 SPA!の綿密なる調査によると、超絶ディープなカーマニアから、クルマにまるで無関心だったパンピーまで、非常に幅広い層のみなさまが、新型ジムニーを見て「欲しい!」と思ったとのことです。  その最大の理由は、クルマの原点回帰とも言うべき、ボクシーなスタイルにあるでしょう。  クルマは成熟商品なので、多くのニューモデルが見たことのない驚きを与えるべく、鬼面人を驚かすデザインを採用していますが、ジムニーにはそういう部分が皆無。幼児のころ、男の子なら誰でも描いた「じどうしゃ」の形そのものです。  それが実物となって目の前に突き付けられた結果、多くの人々の魂をゆさぶったのですね。誰もが死ぬまぎわには「おかあさ~ん!」と叫ぶみたいなもんですか。  そんな、無敵のおふくろの味みたいに魅力的なカタチのクルマが、税金の安い軽自動車だっつーんだから、「なら一台買ってみようかな」と思うのも、無理からぬことでしょう。  で、「あのー、ジムニーください」と、生まれて初めてクルマを買いに行ったみなさまの多くは、営業マンの一言で挫折しました。 「もう年内の納車はムリです」  えええええ~~~~~っ!? 新型アイフォンだって、ひと晩並べば発売日に買えるのに、クルマ買うのに半年以上待つなんてありえんのか!  しかしジムニーはもともと、送電線の維持管理などお仕事で林道を走る方々や、ディープなオフロードマニアのためのクルマ。国内向けの生産台数は、ジムニー(軽)が年間1万5000台、ジムニーシエラ(1500ccの普通車)にいたっては、たったの年間1200台しかないのです。
オートクラブ

左の写真の右がジムニーで左がジムニーシエラ。ジムニーは軽自動車なんで排気量660cc、ジムニーシエラは1500ccです。見た目はソックリですが、シエラのほうがタイヤ上のフェンダーが張り出してます。ちなみにジムニーもシエラも4WDのみ

 そんなマニアックなクルマが、幅広い層の魂を揺り動かしてしまったため、現在の受注台数はジムニーが1万7000台、ジムニーシエラが3500台に達しているとか。つまりジムニーで1年余待ち。ジムニーシエラはヘタすりゃ3年待ち! ヒエ~~~~~~! 新型フェラーリより納車待ちが長い~~~!  あまりにも納車待ちが長くなってしまったので、スズキは増産を検討しているとも言われますが、それにしたってかなり待たねばならない。
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ジムニーは値段が高い!?
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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