仕事

新卒から勤続10年でも年収200万台…独身アラサー女性の“夢”を持てない生活

「もう何もかもが手遅れな気がする」

 「残業がない」という日でも、毎朝9時半から午後9時ごろまでは店頭、もしくは会社にいるという真美子さん。労働感覚がすでに麻痺しているのかもしれず、自宅に帰れば食事を作る気力すらなく、近隣の弁当店かコンビニで夕食兼つまみと強めの酒を買い、テレビや動画サイトをぼーっと眺めながらの晩酌。そのまま風呂にも入らず、気づけば朝を迎えている。趣味や娯楽は一切なく、こんな生活を送りはじめて、すでに10年近くが経った。 「自由に使えるお金も月に5万円では全く足りず、カードローンも利用しています。リボ払いだから……と気にしていなかったら、借金は70万近くにまで膨れました。無駄使いもしていないし、懸命に働いているのに。北海道の田舎で育ち、少しでもいい生活をしたいと札幌に出て、その後は東京に来ました。昔は見下していた地元の中卒、高卒の同級生たちはほぼ全員が結婚し、子育てをしながら半数以上が家まで買っている。以前はSNSでつながっていましたが、そういう報告を見るたびに胸が苦しくなる。今では全く見ないようになりました。30歳までは、実家に戻ろうかとも思いましたが、もう何もかも手遅れなような気がして……」
貧困女子

※写真はイメージです

 仕事もある、住むところもある。毎日食べられるし、酒だって飲める。ひと昔前に社会問題とされた「ワーキングプア」と呼ばれる人たちと比較すれば、真美子さんは「普通の生活」を送っているのかもしれない。しかし、真美子さんには夢も希望もない。ただ毎日、仕事して家に帰り、休日はほぼ布団の中で過ごすだけ。「何か」をしようにも、先立つお金も気力も削がれてしまっており、プライベートの交友関係もほとんどない。 「婚活すれば変われるかな? と思って合コンや婚活パーティーにも行ったことはあります。お付き合いをした男性もいます。でも、根本的に私の生活が変わらない以上、どうしようもないことに気が付きました。でもどうすればいいんでしょう? 死にたいとか逃げたいとかは思わないんですが、このまま過ごしていても、本当に一人ぼっちになってしまいそうで……。そういう恐怖感がありますね」  失われた20年ともいわれる、バブル崩壊後から十数年の間に社会人となった30代後半から40代だけではない。30代前半、20代の世代でさえ、真美子さんのような境遇を強いられている人々が存在する。どうにか社会生活を営んでいるが、ギリギリ社会にぶら下がっている、という表現が適当なのかもしれない。<取材・文/森原ドンタコス>
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