最初はアホかってくらい見向きもされませんでした(笑)
――創業当時は自社でどんなものを作っていたんですか?
明石:ハウツー動画が流行っていたので、まずはかわいい女のコがTシャツの畳み方や自転車のタイヤの換え方などを教えてくれるオシャレな動画を作ったんです。ところがアホかってくらい再生数は伸びなかったですね(笑)。それで、そもそも僕らはメディアをやりたいんだというところに立ち返って、インタビューやドキュメンタリーを撮り始めました。でも、これもまたビックリするくらい再生されなくて……。そもそも月に2本しか出していなかったから、とてもVICEのような「メディア」と言えるものではなく、コンテンツの数や上げるペースが圧倒的に足りていませんでした。そこで、方向転換して、ともかく毎日1本作ることをルールにしたんです。スタッフみんな、啞然ですよ(笑)。
――今まで1本作るのに15日かけてたのに急に(笑)。
明石:本当に急に。もうロケに行ってられないから、パソコンの中にある素材で作るしかないって。
――クリエイターとして、モヤモヤはありませんでした? こんなのを作っていいんだろうか……って。
明石:それはもうありましたよ! しかも、自分たちの“型”もなかなか定まらなくて、利益を全然出せない時期が続きました。初年度の売り上げなんてたったの5万円。だからメルカリには感謝していますよ。昔、着ていたシュプリームの服をメルカリで売って生活していましたから(笑)。ちなみに髪を切るお金がなくて伸びっぱなしだったことで、僕の髪形はロン毛になっていったんです。
※10/30発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【明石ガクト】
’82年、静岡県生まれ。’14年に「Spotwright」を創業。’17年、「ONE MEDIA」に社名変更。現在は自社メディアの運営を行うとともに、数多くの企業の広告やPR動画を制作するなど独自のコンテンツ展開を続ける。11月5日には初の著書となる『
動画2.0』を上梓予定
取材・文/朝井麻由美 撮影/尾藤能暢