ロンドンの演劇学校を卒業して18年…40歳前後になった同級生たちに切ない思い/鴻上尚史
― 連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―
ロンドンに行ってきました。ロンドンは寒いです。もう冬です。
何が悲しくて、わざわざ、寒い場所に来たんだろうと、ちょっと後悔しています。
計画を立てた時は、10月だから、まだなんとかなるんじゃないかと思っていたのです。
ロンドンの寒さをなめていました。
寒い上に、ロンドンに行くからと日本でぐわっと仕事を片づけて、転がるように来たもんだから、疲労が一気に爆発しました。
今、この原稿を書きながら、頭がぐるんぐるんしてます。
ロンドンでぐるんぐるんするのは、三回目です。
昔、ロンドンに住んでいたプロデューサーから「日本で無理して仕事を終わらせるから、疲れ切ってロンドンに来る人が多いのよ。ロンドンに来て、そのまま寝込んだって人もいるし」と言われました。
たしかに、50メートル潜水みたいな気持ちで仕事を片づけて飛行機に飛び乗ることが多いです。
これで温かかったら、身体もホッとするんでしょうが、寒いですからねえ。
でもまあ、やっぱり、街を歩けばウキウキします。
「若者の旅離れ」なんてことも言われていますが、一人で行く旅は、旅立つまではおっくうなものだと感じます。
改札を通るまでや出発ゲートを通過するまでは、なんとなく、気持ちが重いのです。
でも、ゲートを通った瞬間からふっと身体が軽くなります。
自分でもびっくりするぐらい気持ちが変わるのです。
なんでしょうね、この変化。
冬のロンドンで疲労と寒さで頭がぐるんぐるん
風邪を引いても芝居は見たいので、かつてズボン下と呼んでいた、ズボンの下にはく下着を買って外出!もっと昔はももひきと呼ばれ、今は何だ?スパッツか?これをはくのは中学生以来だ!ロンドンの外は冬。やだ。 pic.twitter.com/5p9rTikZvk
— 鴻上尚史 (@KOKAMIShoji) 2018年10月27日
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