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宮古島で馬への虐待が発覚。糞尿まみれでやせ細って衰弱死、天然記念物がなぜ?

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’17年に宮古島市は、高齢馬を天然記念物の指定から外す決定をした(2017年3月17日付『沖縄タイムス』より)

一部の宮古馬を保存対象から外す!?

 環境保護団体メンバーのBさんはこう訴える。 「宮古馬が短期間に次々と衰弱死していることが見過ごされているのが信じられません。保存が始まって最初に馬の死亡が確認された段階で、死因によっては所有者・所在の変更について検討をしなければならなかったはずです。県も市もこれまで放置し続けてきたということ。さらに保存会もまったく機能していないということです。さらにこの保存会は、’15年に宮古馬の天然記念物の指定を外す整理計画を始めました。市の負担を減らすため、一部の高齢馬は補助の対象から外そうということになったんです」  宮古馬保存計画策定委員会の委員のCさんは「種の集団維持には100頭は必要。保存集団が小さすぎると遺伝的に問題がある。県も100頭を目標としている」と疑問を呈した。しかしその意見は取り入れられることなく、市は’17年に一部の宮古馬の「保存除外」を決定した。ここでは「10歳以上の馬で、系統の行き渡った雄馬と、10年以上子供を産んでいない雌馬を天然記念物の指定から外し、それに対しては飼育料を払わない」と決定されたのだ。このままではさらに飼育者が苦しくなる。  このことを知った坂田さんが宮古馬保存の担当部署である宮古島市生涯学習振興課に確認した。 「担当者は『保存馬の場合は、保存会が管理するという意味。保存馬から外した馬は、保存会が管理するのをやめて希望者に払い下げるという意味です』と回答しました。絶滅が危惧され、むしろ改善策が必要なのになぜ保存から外すといった話になるのか理解に苦しみます。同じ天然記念物の在来種である木曽馬は約200頭、御崎馬も約100頭いますが、それを保存から除外するなどという話は聞いたこともありません」  保存から外された馬は、どうなってしまうのか。A記者はこう危惧する。 「地元のリゾートホテルが、保存から外された馬を観光用に飼おうとしているようです。でも、天然記念物を一企業に渡してしまったら、経済的に回らなかった場合に行き場がなくなるなど、とても危険なのではないでしょうか。市当局は、とにかく財政負担になる“お荷物”の馬は早く滅んでほしいと思っているとしか思えません」  生物多様性条約でも「家畜と家禽の絶滅」が問題にされ、多様性の保護が重視されている。国連食糧農業機関(FAO)の世界の動物の遺伝子資源に関するリポートによれば、世界には6500種類の家畜が存在するが、そのうちの20%は絶滅の危機に瀕しているという。 「国連では、持続可能な動物資源の管理を進めるために、管理の実施と資金について、長期的な関与の必要性や相当な追加財源を投入する必要性が強調されています。宮古馬の管理は、現状ではこのような世界の動向に逆行しています」(坂田さん)  とはいえ、今は一部の飼育者に負担がかかっている状況。何とかいい方法はないものか……。 《健全に育てている一部の牧場では……!》  健康に育てられたごく一部の宮古馬は「海乗馬」として観光にも活躍している。しかし、そのためにもまず宮古馬を保全し増やすことが最優先課題だ。健全な環境で放牧し、宮古馬を育てている牧場では、馬たちが幸せそうに遊ぶ姿を見ることができる。 元気な子馬取材・文/週刊SPA!編集部 ※週刊SPA!12月11日発売号「宮古馬を虐待から救え」特集より
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⇒続報はこちらhttps://hbol.jp/181084

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表紙の人/ SKE48

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