マイナーチェンジしたホンダNSXは顔しか違いがわからないが、それでいいのだ!
昨年に続き、自動車業界の不正報道が次から次へと飛び出した’18年。世間もちょっとやそっとの不正では驚かなくなっていたのですが、さすがにGショックにはビックリ。このあとどうなるのか? こんなに不正が続いて日本のモノづくりは大丈夫か? 勝手にモヤモヤしてますが、そんな心配事も男前になったNSXに乗って吹き飛びました。
MJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
現在日本には、乗用車を生産しているメーカーが8社もある。これは、ほかの国に比べるとメチャメチャ多い。しかも、日産グループ以外はすべて民族系。なかでもホンダは、世界第7位の巨大メーカーであるにもかかわらず、他メーカーとの資本関係を持たずに、自前主義を守っている。実に稀有なことである。
そんなホンダは、2年前、スーパーカーのNSXを復活させた。’90年に初代NSXを発売して以来、26年ぶりの新型スーパーカーだった。
しかし2年前、初めて実物の新型NSXを見たとき、私は落胆した。「カッコ悪すぎる!」と。クルマってのは、幅を広くして平べったくすれば、それだけで自動的にカッコよく見えるはずだが、そういうスーパーカー的プロポーションのクルマのなかでは、断然カッコよくなかったのだ。
「そんなことないだろ! 新型NSXは十分カッコいい!」
そういう意見もあったが、じゃランボルギーニやアストンマーティンと並べたらどうなのかと言えば、負けは歴然だった。
スーパーカーは、速さも大事っちゃ大事だが、カッコやブランド力のほうがもっともっと大事だ。私はカウンタックに乗ってたこともありますが、ブレーキとかあんまり効きませんでした。でもそんなことどーでもいーでしょ!? カウンタックが走ってるだけで、あのカッコだけで、みんな狂喜してくれたんだから。それがスーパーカーってもんだ。
振り返って新型NSXがどうかと言えば、速さはライバルに追いついていたが、ブランド力はフェラーリやポルシェに遠く及ばない。そしてカッコはスーパーカーの一番下。総合すると一番下。そういうことになってしまった。
こうしてスーパーカー界の最下位に君臨することになったNSXが、このたびマイナーチェンジ(小変更)を受けて、細かいところがちょっとずつ改良された。乗ってみると、相変わらずメチャメチャ速いしメチャメチャよく曲がったが、それは現代のスーパーカーではフツーのこと。何がどう変わったのかは、ほとんどわからなかった。
唯一はっきりわかったのは、フロントグリルのマジンガーZみたいなメッキ部分が、ボディと同じ色になったことだ。つまり塗装がちょっと変わったわけだが、これで印象がかなり変わった。少なくとも、前よりかなりカッコよくなった。
改めて実感した日本に“国産スーパーカー”があるシアワセ
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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