ご意見番が選ぶ2018年ギャンブル業界10大ニュース
──宝くじもガチャも、スマートフォンで気軽に楽しめるので、利用する側にも、ギャンブルをやっているという意識は薄いかもしれませんね。
POKKA吉田:この前の有馬記念は買ったわ。オジュウチョウサン、熱かったねぇ。枠順抽選で武豊が1枠1番引いたとこから、ドラマが仕組まれてんのか!? って思ったし、オジュウの経歴もいい。平場のレースでは勝てなかった馬が、たまたま障害レースでチャンピオンになって、平場に返り咲くっていうね。しかも有馬記念を走っちゃアカン馬なのに5番人気なんだから。当てようと思ったらあんな馬買わないんだけど、競馬ファンやったら買ってしまうんやろね。それでも、ゲートが開いてからしばらくハナいったからね。びっくりしたわもう(笑)。ギャンブルにこんなドラマあんねやって。めちゃめちゃすごいドラマやったと思います。
木曽崇:POKKAさんの熱量がすごいな(笑)。
POKKA吉田:結局9着で負けたけどね(笑)。終わってからいろいろ考えちゃうね、競馬は。好きなギャンブルだと勝っても負けてもあれこれ言いたいもの。その点、ビットコインは、価格が下落してからは誰も話題にせぇへん。仮想通貨は好きとか嫌いとかいう次元じゃないんかな。
木曽崇:じゃあ僕は地方競馬の話で。年の瀬の岩手競馬のドーピング問題は、「やっぱりな」という印象です。4頭のドーピング発覚後、11月にレース再開したけれど、12月25日に5頭目のドーピングが発覚して1月7日までレース休止になったんですよ。
POKKA吉田:またかいな。確か前回は、「外部のしわざや!」ってことで、厩舎に監視カメラを付けたんよね。
木曽崇:そう。犯人も目的も原因も解明されないまま、監視カメラを付ける対応をとって再開されて、再び不正薬物が検出された。岩手競馬の場合は岩手県が主催者・事業者の立場なので、何か問題が起こっても自分でやめられないんですよね。岩手県知事自身が言っているんですが、競馬で収益を出すこと・赤字化しないことが最大の命題になってしまっていて。ファンにとって公正なルールのもとでの競争ができていないっていうのは、決して健全な状況ではないですよね。残念ながら、公営競技の業界構造上の問題が出ているのかなぁと思います。
──eスポーツと麻雀では、五輪メダル競技化を目指す動きがありましたよね。
木曽崇:今年は本当にeスポーツにとっては飛躍の年で、流行語大賞にもノミネートされるぐらいだったんだけど、最後の最後で12月に五輪メダル競技から落選したんですよ。今後も賞金制大会というかたちで日本では続いていくんだろうけど、このスポーツ路線っていうのは、維持できるのか、どういうふうに帰着するのか、改めて興味を持っています。最終的には入場チケットや放送権を売るなりして興行化を進めないと、ビジネスとして立ち行かなくなりますよね。まだまだこれから、という感じです。
POKKA吉田:自民党有志議員らで「頭脳スポーツとしての健全で安全な麻雀を推進する議員連盟」も設立されたよね。ほんで2022年の北京冬季五輪での正式競技化を目指すっていう。Mリーグ発足時の「ゼロギャンブル宣言」もそうやけど、「ギャンブルとは無縁じゃないよ!」って自ら宣言してるのと同じです。よくぱちんこ業界でも「健全化」って言葉を使うけど、健全な業界は「健全化」なんて絶対に言わないから! だから、Mリーグの藤田晋さんと川淵三郎さんは、麻雀がギャンブルと無縁じゃないってことを認めつつ、我々だけは無縁で行くと宣言したわけ。ここまで正面切って言うのは、業界初じゃないかな。すごいことやと思うわ。
木曽崇:歴史的経緯のなかで、不健全であり安全でない麻雀が広がったことは事実です。こういった宣言に対して麻雀業界側からも反発があるなかで、あえてその点を旗印にあげてちゃんとメッセージを発するということは、僕はむしろ良いことだと思っています。タブー視することは今の業界構造を維持しますってことにしかなりませんから、健全化のためにそこに切り込んでくれて良かったと思いますよ。
POKKA吉田:Mリーグでは、二階堂亜樹さんの話はハズせませんね。かわいらしくて人気のある女流雀士が、ちゃんと健闘して個人成績で今上位におるからね。なんならトップまで行って、「客寄せパンダやん」とか言ってる人らをドン引きさせてほしいよね。萩原聖人さんとのワン・ツーとか見てみたいわぁ!
木曽崇:僕は逆に、実力派と言われてきた雀士たちをすごく応援してきたので、そこはPOKKAさんとは相容れないな(笑)。お互いの推し雀士がボッコボコにやり合うのを楽しみにしてます。
【POKKA吉田氏】
ぱちんこジャーナリスト。パチンコ業界紙『シークエンス』の発行人・編集長。近著に『パチンコが本当になくなる日』などがある。メーカーが主催するセミナーで講師も務めている。 Twitter:@POKKAYOSHIDA
【木曽崇】
国際カジノ研究所所長。日本では数少ないカジノ産業の専門研究者。近著は『「夜遊び」の経済学 世界が注目する「ナイトタイムエコノミー」』(’17年、光文社新書) Twitter:@takashikiso
取材・文・構成/野中ツトム、松嶋千春(清談社)
SPA!が運営する日刊SPA!内のギャンブル情報サイト「勝SPA!(かちすぱ)」の取材班。Twitter(@kspa_official)
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