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ティラミス専門店「HERO’S」のパクリ騒動を“PPAP騒動”で非難された人物が語る

 日本国内の話なのか? そう思った人も多いだろう。目下、大炎上中の商標パクリ騒動だ。


 発端は1月20日に東京・表参道にオープンした「HERO’S」というティラミス専門店。コスチュームをまとった猫のイラストが瓶にプリントされた、いかにもインスタ映えしそうなスイーツだ。が、直後からシンガポールに本店を構える「ティラミスヒーロー」のパクリでは?と指摘する声があがる。実際、瓶詰めティラミスである点やコスプレした猫のイラストをあしらったデザイン、ヒーローのコンセプトは丸カブリ。HPでは堂々と店名HERO’Sに〈ティラミステイクアウト専門店ティラミスヒーロー〉の文言も添えられていた。

 一方、“本家”の日本法人のHPを見ると、〈2012年にシンガポールでつくられた私達のオリジナルブランドロゴがコピーされ、只今日本で使用できなくなってしまいました〉という文言が……。これでパクリが確定。大炎上したわけだ。

「HERO'S

「HERO’S」公式サイトより

 ただし、火に油を注いだのはHERO’Sの“本体”ともいえる大阪のgramの知財戦略。HERO’S同様、不動産業界出身の高田雄史氏が代表を務める会社で、設立は’14年。パンケーキ店「gram」をFC含めて、全国60店舗も展開している飲食チェーンだ。同社が’17年6月に「ティラミスヒーロー」を商標登録出願して、’18年3月に設定登録。さらに、本家ティラミスヒーローをほぼ丸パクリしたロゴまで商標出願して、’18年8月に登録されていたことが発覚したのだ。そのロゴの違いは「THE TIRAMISU HERO」の末尾にピリオドがあるかないか。完全な盗用だ。

 恐ろしいことに、gramの商標出願状況をチェックすると、自社商品のキャラクターではなく、本家ティラミスヒーローのキャラクターを’18年8月に商標出願していることもわかる。商品名とロゴのみならず、キャラクターまで乗っ取ろうとしていたのだ。

 おのずと、gramおよびHERO’Sには批判が殺到。表参道店の店員は「話題性からか、連日お客さんが増えていますが、『パクリ商品を売って恥ずかしくないのか?』とだけ言って、帰られる人も多い」と漏らす。gram社に問い合わせると「多数のご批判を頂戴していますが、商標の出願に関しては代表の高田が“個人”で行っているため、お話できることがない」という回答で、その高田氏は「出張中」のため連絡が取れないとのことだった。

ブランド乗っ取り事件に見る知財リスク


 1月22日にはHERO’SのHP上で、〈ロゴに関しましてはシンガポールの日本側運営会社に対し、その使用権をお渡しする所存でございます。〉と発表されたが、「『お返しします』の間違いだろ!」という批判が集中。もはや、収拾がつかないほどの炎上騒ぎに発展し、法的責任を問われる可能性も高まっているという。弁理士の工藤一郎氏が話す。

「ロゴをほぼそのまま盗用している点で、著作権法違反は免れません。故意の著作権侵害が認められれば、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科される場合もあります。さらに、商標法では『外国で周知な商標を、国内参入を阻止する目的で出願する』ことを不正目的として禁じていますので、『商標の周知』が立証できれば本家による商標登録無効審判を経て、gramの持つティラミスヒーローの商標権は無効となる可能性が高いでしょう。加えて、パンケーキ店『gram』のFC加盟店から、ブランド価値失墜に伴う損害賠償請求訴訟が起こされるおそれもあるし、場合によっては独占禁止法違反に問われる可能性もあった。

 過去に、競争事業者がすでに使用している商品名やロゴの商標権を取得して事業を継続できなくなる状況に追い込んだ事業者に対して、公正取引委員会が独占禁止法に抵触するおそれがあるという見解を示しているのです。’16年のベストライセンス社(以下BL社)によるPPAP商標出願騒動以来の大きな商標トラブルとなるのは間違いありません」

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PPAP騒動で「商標ゴロ」と糾弾された人物も警告

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