「一蘭」丸パクリのラーメン店がタイで大ブーム…パクリのパクリ店まで出現
日本人から「コピー天国」と揶揄されるように、タイ国内ではあらゆるコピー商品があたかも「違法ではない」かのように街角で売られている。音楽や映画などのCDやDVDを始め、フォトショップやイラストレーターなどのソフト、ブランド物の時計、スマートフォン、アパレル商品、ブランドのバッグと、枚挙にいとまがないほどのコピー商品が氾濫。“巨大コピー市場”が形成されているといって過言ではないだろう。
「タイのコピー天国」がどれほどの程度なのか示す数字を紹介しよう。
アメリカ合衆国通商代表部(USTR)はタイに対し、知的財産権の保護が不十分な「優先監視国」に11年連続で指定。さらに、アメリカ商工会議所が45ヶ国の地域の知的財産権の状況を調べた「国際知的財産権指数」の2017年版を見ると、こちらも40位とことさら低評価だった。
アメリカがお墨付きと認めるコピー天国のタイ。世界屈指ともいえるコピー大国から今回お届けするのは、日本の有名ラーメン店のシステムをまるっきり模倣したラーメン店のお話である。
1993年、福岡市南区に一号店を出店したとんこつ専門ラーメン店『一蘭』。この店の代名詞ともいえるシステム「味集中カウンター」をご存知の方は多いだろう。カウンター席に仕切板を設け、隣席と隔絶することによってラーメンに集中できることから名付けられたカウンター席だ。隣を気にすることなく食事ができるこのシステムは人気となり、『一蘭』は日本国内で71店舗を展開。日本だけにとどまらず海外進出も果たし、アメリカや香港、台湾にも出店した(※2017年12月執筆時点)
海外へ目を向けているのであれば、ラーメン店激戦都市のバンコクも視野に入れているはず。そろそろ進出するのだろうかと思いきや、バンコクにはすでに「味集中カウンター」を採用したラーメン屋があるという情報を掴んだ。
その店とは、先に述べた模倣ラーメン店の『Aラーメン』である。
『Aラーメン』の本店があるラマ9世通りソイ49という場所は、バンコク中心部から10km以上離れており、バスなどを使ってもアクセスは容易ではなく、日本人が訪れることはほとんどないエリアである。
13時ごろ来店してみると10名ほどのタイ人客が椅子に座り順番を待っている状況だ。昼時とはいえ行列のできるラーメン店はバンコクでも珍しいのに、至便とはとても言い難いラマ9世通りソイ49のラーメン店に行列が出来ている。店が所有する駐車場はほぼ満車。
停めている車の中にはベンツといった高級車も数台見受けられ、『Aラーメン』がタイ人の間で話題になっていることがうかがえる。20分ほど待ったところで店員がカウンター席へと誘導してくれた。そこに広がっていたのは、私が日本で見た『一蘭』そのもののカウンター席である。カウンター席の作りや仕切板、雰囲気など、見事なまでに『一蘭』そのものを作り上げたといっていい。
カウンター席に着くとまずオーダー用紙への記入である。記入するのは麺の固さやスープの濃度、辛さ、トッピングの種類など、これも『一蘭』とまったく同じだ。記入が終われば呼び鈴で店員を呼び用紙を渡せば注文完了。どこまでも『一蘭』を想起させるシステムを導入している。
『Aラーメン』がコピーしているのはカウンター席や注文方法だけではなかった。提供されたラーメンには『一蘭』と同じような赤いタレがトッピングされ、麺といいスープといい本家をがんばって模倣している様子がうかがえる。そのラーメンが150バーツ(約510円)なのだから日本人の金銭感覚からすればコスパは決して悪くはない。タイ人経営のラーメン店が、150バーツでこのラーメンを提供できているなら十分だろう。
バンコクに『一蘭』を彷彿とさせるラーメン店があった…
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2011年よりタイ・バンコク在住。バンコク発の月刊誌『Gダイアリー』元編集長。現在はバンコクで旅行会社TRIPULLや、タイ料理店グルメ情報サイト『激旨!タイ食堂』を運営しながら執筆活動も行っている。Twitter:@nishioyasuharu
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