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定年後「再雇用」の実情。役員からイチ営業マンになった60代の選択

 あなたは自分が70歳まで働く姿を想像できるだろうか? 人生100年時代といわれる今、もはや悠々自適な引退生活など、遠い過去のものになった。  定年を迎えたサラリーマンにとって、最も有力な選択肢となる「雇用延長」という働き方。同じ仕事内容でも給与が下がったり、正社員から契約にされる現実や、やりがいのない業務内容に辟易する人も多いという。実際に雇用延長で働く60代たちは“今の自分”と、どう折り合いをつけているのか。
[70歳まで働く]超実践ガイド

「スーツが似合う体形を維持し続けたい」と広田さん。営業マンとしての誇りが見える

役員から現場の営業に。今の目標は70歳まで現役で働くこと

広田明弘さん(仮名・64歳・営業)の場合  定年を機に“現場復帰”する人もいる。広田さんの場合、定年前の勤め先の親会社に再雇用された。 「子会社の役員として定年になる60歳まで勤め上げました。定年間際、社長と話しているときに親会社の法人営業の人手が足りてないという話を聞き、自分自身まだまだ働けるという自負があったので、『私でよければ働きたい』と直談判したんです。 その後オーナーに面接してもらい、そのまま再雇用していただきました。現在の雇用形態は契約社員ですが、週4日ほど9~17時で勤務しています。今でもバリバリの営業マンとして外回りをしていますよ」  子会社の役員時代と比べれば年収自体は3割減少して800万円になった。それでも専業主婦の奥さんと暮らしていくには十分すぎるほどの額を得ている。むしろ現役世代からしても羨ましさすら感じる額と言えるだろう。 「収入自体は下がってしまいましたが、社会から必要とされる嬉しさには代えがたいですね。あとは、妻は妻で生活のリズムがあるので、定年後ずっと家にいるようになっても煙たがられるかなって思いもありまして。 再雇用が決まった当初は、65歳まで働くことを目標にしていましたが、当面の目標は70歳まで働くことですね。偉そうなイスに座っているより、外を駆け回っていたほうがいいですよ」  現役の営業マンだけあって、その声にも活力が溢れていた。 ― [70歳まで働く]超実践ガイド ―
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