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50代で介護職に転職した男性「休職するハメになった誤算」とは

 あなたは自分が70歳まで働く姿を想像できるだろうか? 人生100年時代といわれる今、もはや悠々自適な引退生活など、遠い過去のものになった。  定年後を見据えた60代のキャリアチェンジはどうすべきか。会社員人生の残りが見えたことにより、職場を変えたり独立を目指す人もいる。しかし、すべてが予定どおりにいくとは限らないようで……。
腰痛

※写真はイメージです

転職から、まさかのケガで労災頼りの生活に

岡田茂雄さん(仮名・62歳・休職中)の場合  もともとは65歳定年の電機メーカーで正社員として働いていた岡田さん。「独身で自由も利くし、同じ職場で最後まで」という思いはあったが、家族の問題で50代にして転職することになった。 「母親が病弱だったこともあり、私も日頃から体にだけは気をつけていましたが、そんななかで母親が本格的に体調を崩してしまい、介護とまではいきませんが助けがいる状態になったんです。ネットやハローワークで転職先を検討し、介護系が最も間口が広い勤務体系で融通も利いたので、転職を決意。現在の職場に決めた一番の理由は、ほかの介護関係の職場の定年が60歳なのに対し、65歳まで働けることでした」  しかし、その後、思わぬアクシデントが彼を襲った。 「56歳のとき、仕事中に腰を痛めてしまい1年半ほど仕事を休みました。その後、現場復帰したのですが後遺症が出てしまい、今から2年前に再発。現在も労災で生活している状態です」

介護職の腰痛は、社会問題になるほど

 高齢者を抱える力仕事や中腰の仕事が多い介護現場。介護や看護の仕事を含む「保健衛生業」は、仕事が原因で起こる病気・負傷の約6割が「腰痛」なのである(厚生労働省「業務上疾病発生状況等調査」平成28年)。 腰痛 体調管理にだけは気をつけて生活していただけにショックだったという岡田さん。将来への不安を次のように語る。 「今の職場での契約延長ができたらそれが一番ですが、現在の状況を踏まえると難しいと思います。他の職場に転職するにしても体のことを考えると、現場系ではなく、負担の少ない事務系の仕事を探すことになるので、見つかるかどうか……。年金事務所で計算してもらったら、70歳まで年金受給を遅らせれば働かずに生活していける額はもらえそうなので、なんとかしがみついてでも70歳までは働きたいと考えています」  65歳以降を見据えて動いたはずが、おもわぬ事態に。介護のように、求人が多い仕事は、肉体的に過酷なことも多いのが、辛い現実かもしれない。 ― [70歳まで働く]超実践ガイド ―
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