小さなスピードタイプの馬への騎乗で菜七子は活きる!
――やっぱり、競り負けしちゃいますかね?
TARO:技術的なことをいえば、藤田騎手は十分に水準点はありますよ。やっぱりこれだけいろんな機会をもらっているから上手くなってきているし、負けん気が強いっていうのが見ててわかります。出走するレース場を選べばぜんぜん買えると思います。馬群を捌いたり、でかい馬を動かすってことは得意じゃないけど、ちっちゃい馬をスピードに乗せたり、神経質な馬を抑えて持ってくるっていうのはすごく上手です。
ナツ:たしかにたしかに。コパノキッキングの馬主のドクターコパさんもすっごい推してましたよね。
TARO:「コパノキッキングは武豊か藤田菜七子が合う」って、馬との相性を分析されてて、仰る通りだなと。折り合いをつけたり、ためて末脚を生かしたり、女性特有の柔らかさみたいなものが感じられますよね。でかい馬をガシガシ動かして持ってくるタイプではないので、使い方次第っていう感じがします。
――たしかに、乗るものが変わる競馬特有の事情を考えると、合う馬・合わない馬っていうのは絶対出てきますよね。
TARO:シンプルに、でかい馬に乗るレースは避けるべきです。データ上でも、藤田騎手は大きい馬はダメっていう傾向が出てるので。オルフェーブル血統のマルエンブレムっていう馬体300kg台の馬がいるんですけど、藤田騎手はすごく上手く乗ります。馬券を買う側にとっては、傾向にムラがあってたまにうまく乗っちゃう騎手よりも、「こういう馬はダメ、こういう馬はイイ」っていうのがわかったほうが買いやすい。そういった意味で、藤田騎手はわかりやすくて良いと思います。
菜七子が得意なコースは雨のダート・1000m直線・平坦・外枠!
ナツ:話は変わるんですが、藤田騎手のデータを調べてみたら、1~4枠の数字が極端に悪いんですね。1枠の回収率が単勝38%、複勝24%、2枠が単勝20%、複勝21%。対して、6枠が単勝82%、複勝44%。枠順によってめちゃくちゃ極端な数字が出てる。
TARO:逃げ切れるなら内でもいいんですけど、外が上手いんですよね。とくにダート・外枠。さらに言うと、良馬場の成績が悪いんですよ。
ナツ:ああ、そうなんですか? まぁ、雨の芝は重くなるけど、雨のダートは逆に軽くなりますもんね。
TARO:ダートの良馬場は重たいので、必死に動かさないとダメなんです。雨が降ってダートの馬場が軽くなると成績が明らかに上がってて、そこらへんもわかりやすいなぁと思います。それと同じで、腕っ節が必要な坂のあるコースより、平坦なコースのほうがスピードを生かしやすいから得意。内田博幸っていう騎手がいるんですけど、まさに対極です。元体操選手で、腕っ節も体幹もめっちゃ強くて、でかい馬を持ってくるのが上手くて、騎乗依頼もでかい馬ばかり来るんですよ。でも、スタートで馬が全然進んでいかないっていう(笑)。
――雨のダート、外枠、1000m直線、コースは平坦が藤田騎手の狙い所だと。
ナツ:まだありますよ。このデータもすごくないですか。藤田騎手の過去3年の逃げ・先行・差し・追い込みの成績なんですけど、逃げの回収率が単勝240%、複勝135%。追い込みの回収率が単勝3%、複勝12%っていう。
TARO:あ~、本当ですね。ただ、若手騎手はみんな逃げ・先行の成績が良い傾向があるから、藤田騎手に限ったことではないですよ。若手騎手はまず弱い馬に乗ることが多いので、追走しきれなくて後方にとどまってしまうことが多いんです。