カーライフ

ド庶民がポルシェを買うなら100万円以下の中古車でも十分な理由

「最新のポルシェが最良のポルシェ」とは、ポルシェを語るうえで使われる言葉ですが、フェラーリやランボルギーニに比べて、ポルシェって新型になっても見た目が大きく変わってない気がします。おふくろの味をずっと守り続けているからでありますが、だったら最新じゃなくてもポルシェはいいんじゃないか? 貧乏人はそう考えるのでした オートクラブMJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

売れてるカイエンか?それとも伝統の911か?ポルシェといえばイマドキ何?

 25年間フェラーリを乗り継いでおりますが、この日本にはフェラーリが似合う場所がどこにもないことを、痛感してきました。六本木ヒルズならいいかもだが、そこから一歩出たらダメ。箱根じゃ見るからにクルマオタク。湘南や伊豆は渋滞地獄。  イタリアならどこを走っても絵になるのに、日本だとどこを走っても「大げさすぎ!」「バッカじゃないの?」になっちまう。まあイタリアだと、すぐ盗まれちゃうからどこも走れないらしいけど。日本人でヨカッター!  ともかく日本にはフェラーリが似合う場所がない。ところがこれがポルシェ911だと、けっこうどこでも似合ってしまう。貧乏な住宅街なら掃き溜めに鶴、薄汚い工場地帯ならサイバーパンク。リゾートにもフツーに溶け込める。ポルシェは高級だけど実用キカイなので、そんなに場所は選ばないのですね。  そんなポルシェの市場を大きく広げたのが、SUVのカイエンだ。17年前、初代カイエンが出た時は、「ポルシェがこんなもの作りやがって!」と、カーマニアからは総スカンを食らったが、今やポルシェの世界販売の7割をSUVが占めている。中国じゃ9割だとか。ポルシェ首脳陣の経営判断は超正しかった! カーマニアは全員間違っておりました。  フェラーリより圧倒的に場所を選ばないポルシェ911だけど、カイエンはさらに場所を選ばない。なにしろ一応オフロードでもOKなので。911がスーツなら、カイエンはブランドもののジャージですかね。人間、ラクなほうに流れるもの。スーツからジャージへの流れは誰にも止められない。  そのカイエンが、昨年フルモデルチェンジを受けて3代目になった。
オートクラブ

ポルシェ・カイエンは976万円(3リッターV6エンジン搭載、340馬力)。ほかに1288万円のカイエンS(3リッターV6エンジン搭載、440馬力)と、1855万円のカイエンターボ(4リッターV8エンジン搭載、550馬力)をラインナップ。まあ、見た目の違いは素人にはわかりません

 しかしどこが変わったのか、見た目じゃよくわからない。たぶんあんまり興味がないからなんだけど、カーマニアですら見分けが難しいんだから、一般人にはほぼムリだろう。
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ベンツやBMWのSUVとあまり差を感じない?
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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