更新日:2023年05月23日 17:45
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ポルシェ911の秘密。新旧の簡単な見分け方は…

 平家にあらずんば人にあらず、911にあらずんばポルシェにあらず。そのぐらい、ポルシェにおいて911は特別な存在であります。「オレのクルマはポルシェ」って言っていいのは911オーナーだけなんて話もあるぐらいです。フェラーリやランボルギーニは、どのモデルでもいいのに。今回はそんな孤高の存在ポルシェ911を、ど素人向けに解説します
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NEW PORSCHE 911

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信(流し撮り職人)=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

素人のためのポルシェ911学。見分けがつかないほうが人気あり!?

 人類のアイドル・ポルシェ911が新型になりました! 発売されたのは半年も前ですが、ついに取材することができました! 新型ポルシェ911サイコー! 「そう言われても、旧型と見分けつかないんだけど」  そのように仰る読者様が大部分かと思います。
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こちらが新型の992型ポルシェ911(写真はカレラ4S)。お値段1666万円~。フェラーリやランボルギーニではあまり感じない“精密機械に乗っている感”はさすがポルシェであります

 911は人類のアイドルなので、フーテンの寅さんのように変わることが許されず、カーマニアでも見分けが難しい。よって今回は、歴代ポルシェ911の見分け方に絞ってお伝えしましょう。どうせ買わないだろうし。  911には、大きく分けて元祖の「空冷ポルシェ」と現代化された「水冷ポルシェ」がありますが、これは音で聞き分けましょう。空冷ポルシェは「ババババッ」とファンが回る音がするけど水冷ポルシェからは聞こえません。「ババッ」と音がしたら「あれが本物のポルシェの音さ」と言っておけば間違いないです。  エンジンが止まっているときは、大きさで判断してください。空冷ポルシェは幅がヴィッツより狭かったりして、ちっちゃくてかわいいです。  911は、’98年から普通の水冷エンジンになりました。空冷のままでは排ガス規制を通せなくなったのが主な理由です。そこから今度の新型まで、4代を経ております。  水冷になって最初の996型は、ヘッドライトが涙目なので一発で見分けがつきます。これは、ポルシェの廉価版スポーツカー「ボクスター」のヘッドライトを流用したもので、ポルシェファンから大変な不評を買いました。涙目の911を見たら、「あれは人気ないんだよ」とつぶやいておけば大丈夫です。実際中古車市場では、500万円以下で買える911の大部分がこの型。逆に言うと一番人気のないこの型でも、20年落ちで200万円はするので、さすがポルシェ911は人類のアイドルです。  続く997型は、不評だった涙目を伝統の丸形に戻し、劇的に人気が回復しました。寅さんは寅さんじゃないとダメだったのです。  ここから3代の見分けが非常に難しいのですが、顔を見て判断する場合、997型は「スモールランプがバンパーの上」、続く991型は「スモールランプが左右の空気取り入れ口と合体」、そして最新の992型は「口が左右つながった長方形」と覚えましょう!  見た目があまり変わってはいけないポルシェ911ですが、実は大変意外なことに、値段もあまり変わっていません。  一番安い911カレラの価格を見ると、22年前の996型は1039万円で、新型は1359万円。3割も上がってない。この間にワゴンRだって4割値上げしたのにスゲエ! フェラーリは2倍になったのに! ああポルシェってなんて良心的なんだ!  実はポルシェ社はこの間に、「オプション地獄車」という必殺技を編み出して、実質大幅値上げを行っておりました。  たとえば今回試乗した、写真のカレラ4S、車両本体価格は1804万円ですが、そこにオプションが約400万円付いて合計2173万円! オプションを付ける付けないは買う人の自由だけど、「付けないと負け」みたいな魅力的な装備が多くて、ついテンコ盛りにしたくなる巧妙な仕組みになっております。 オートクラブ この「オプション地獄車」は、その後フェラーリやランボルギーニなどにも伝染し、どこもオプション数百万円がアタリマエになりました。 「オプションだけでワゴンRが何台も買えるやんけ!」とか貧乏くさいことを言う者には手も足も出ない仕組みになっております。  で、新型911、乗った感じはどうなのか。  一言でいうと、「スーパー戦車」って感じですかね……。「それだけかい!」と思うでしょうが、ポルシェ911を軽々に語ることはできないので、平にご容赦ください。
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見分けがつくかな? 最近のポルシェ911の変遷
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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