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ホームレス老人の絶望的な現実…真面目に働いていたはずなのになぜ?

「KGBとも仕事をしたし、国定忠治は実は俺だよ」

「国内でも、海外でも、いろいろなところで戦ってきたから。由井正雪と知り合いだったし、蒙古襲来のときはすごかった。KGBとも仕事をしたし、毛沢東の息子が白髭橋の手前で事故に遭って脳みそが飛び出したのを助けたこともあったな。脳みそは白子みたいなんだよ。それから、国定忠治は、実は俺だよ。処刑されたのが偽物なんだ」  仙田さんは理路整然と語り、目つきは真剣そのものだった。 「あのな、そこらじゅうに『バケモノ』がいて、壁や木の中に人を吸い込んでそいつと入れ替わっちゃうんだ。俺の実家も全員殺された。兄ちゃんも気をつけろよ」  もはや、仙田さんが話した半生が事実かどうかもわからなくなってきた。しかし、狂気のギリギリ一歩手前で仙田さんを現実と正気に繫ぎ留めているのは、路上生活の「不安」そのものなのかもしれない。 ― [貧困老人]絶望の現実 ―
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