イチローだって選抜高校野球では完敗…初戦敗退をへてスター選手になった5人
平成最後の大会となった今年の春の選抜高校野球も、4月3日、いよいよ決勝戦を迎える。だが、その決戦の場には星稜(石川)の150キロ右腕・奥川恭伸や高校生No.1左腕・横浜(神奈川)の及川雅貴ら、今大会での活躍が期待されたプロ注目の選手たちの姿は残念ながらない。予想外に早々と敗戦を喫してしまったからだ。
まさに何が起こるか分からない高校野球の世界。そこで、ここでは過去の春の選抜で、“まさかの初戦敗退”を喫した、後のスタープロ野球選手たちを紹介していこうと思う。
大谷翔平が初めて春の選抜に出場したのが2012年の春。花巻東(岩手)の剛速球エース&猛打の4番という、まさにチームの大黒柱で、もちろんこの年の選抜の目玉であった。だが、組み合わせ抽選の結果、大谷はもう一人の目玉選手と初戦で対戦することに。それが大阪桐蔭のエース右腕・藤浪晋太郎(阪神)だった。
この試合、まず大谷はバットで魅せた。2回裏に藤浪から右中間スタンドへ特大の先制ソロを放ったのだ。一方、投手・大谷も5回表まで大阪桐蔭打線を2安打無失点。試合は完全な花巻東ペースだった。
ところが6回以降、試合展開は一変してしまう。大谷は6回表に2つの四球と長短打を浴びて一挙に3失点。7回には本塁打を打たれるなど、結果的に8回2/3を投げてヒット7本を浴び、11四死球を与えて、9失点を喫してしまったのである。当然のように試合は2-9と惨敗。それでもこの試合、強打の大阪桐蔭打線から意地の11三振を奪ったのは他ならぬ大谷の実力の片鱗でもあった。
筒香嘉智が名門・横浜(神奈川)の主軸打者として初めて甲子園に出場したのは’08年。高2のときの第80回春の選抜。初戦の相手は滋賀の公立校・北大津。前年秋の関東大会を制した横浜からすれば、明らかに格下の相手であった。だが、その格下相手にまさかの取りこぼしをしてしまう。
番狂わせの伏線はあった。筒香は1回表1死一塁で甲子園初打席を迎えるのだが、ここであっけなくショートゴロ併殺打。さらに守りでも2回裏に何でもないサードゴロを弾いてしまった。それでも4回表に放った二塁打をきっかけに横浜が先制。このまま主導権を握るかと思われたのだが、なんとその裏、投手陣が突如乱れて4失点。
結局、2-6で敗れてしまった。強豪・横浜にとって春の選抜初戦敗退は’99年以来の実に9年ぶりの出来事。筒香自身も4打数1安打1三振と消化不良のまま甲子園を去っている。
山口俊という名が最初に野球ファンに広く知れ渡ったのが2005年春の選抜のこと。その前年秋の明治神宮大会(春の選抜の前哨戦ともいえる全国大会)を圧勝した柳ケ浦(大分)の剛速球エースだったからだ。大会前の前評判はこの山口の存在が大きく、柳ケ浦はもちろん優勝候補の筆頭に推されていた。
だが初戦の天理(奈良)戦でいきなり甲子園の洗礼を浴びてしまう。ストレートで最速151キロを記録し、観衆の度肝を抜いたものの、試合巧者の天理打線のソツのない攻撃の前に9安打を浴び、0-4でまさかの初戦敗退。大会2日目にして注目の右腕はその姿を消したのだった。
ライバル・藤浪晋太郎から豪快な本塁打も9失点敗退。大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)
打っても守ってもいいところなし……格下相手にまさかの取りこぼし! 筒香嘉智(横浜DeNA)
最速151キロの大会No.1右腕も、試合巧者のソツのない攻撃に沈没!山口俊(巨人)
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