仕事

出世できなかった40代の会社員が今すべきこと/江上剛×大江英樹

 少子高齢化が進む昨今、長く働き続けることはもはや必然に。かつての「働き方」がいよいよ微塵も通用しなくなるこれからの時代、60歳以降の人生を確実に乗り切るうえで必要となるものとは一体? 経歴よりも資格よりもずっと重要となる「サラリーマン生活の適切な終え方」ここに考察する――。 会社員

「人生100年時代」に会社員がとるべき戦略とは?

 会社員生活の終活で、明暗を分けるものは何なのか。49歳で大手都市銀行を早期退職し、現在は小説家として数多くの作品を世に出している江上剛氏と、大手証券会社を60歳で定年退職したのち、経済コラムニストとして活動する大江英樹氏。現在は、充実した“第二の人生”を送る両人だが、その過程は必ずしも順風満帆なものではなかったという。そんな2人に、自身が辿った軌跡や、40代以上の会社員が今すべきことを聞いた。 ――お二人とも会社員時代からリタイア後の準備はしてましたか? 江上:僕は在職中に作家デビューしたんですが、編集者からは「作家は食えないので、銀行は辞めるな」と釘を刺されていて。ただ、「50歳になったら、会社を辞め損なってしまう」と思い、49歳で後ろ盾もないまま、退職しました。 大江:その決断は素晴らしいですね。私も在職中から退職後の不安がありましたが、「でも……」を連発して行動を先延ばしにしてばかりの典型的な「BUTマン」でした。特に出世もせず、60歳で定年するまで、本当にダラダラと会社にいて。定年後は再雇用制度を利用しましたが、責任や権限があいまいだったことに嫌気がさし、結局、半年で辞めました。
会社員人生の終活

大江英樹氏(左)と、江上剛氏

江上:会社にとどまるのは悪い選択ではないけれど、本当にその仕事を好きかが問われますね。嫌な仕事を延々とやらされるなら、逃げ出すことも視野に入れてほしい。 大江:40~50代になったら、いち早く出世への思いを断ち切り、「成仏」すべきです。この年齢になれば、社内での自分の先行きは見えてくる。出世が無理なら早々に次の道を模索したほうがいいです。 江上:定年後は、若い頃以上に格差社会ですからね。60歳以降、労せずにいい職にありつけるのは、大企業の役員レベルか官僚で局長以上まで上り詰めたような上位0.01%の人だけ。それ以外は自分で道を切り開かないといけない。 大江:確かに大企業出身や、部長や課長といった役職は何の意味も持たないと考えるべきですね。
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まずは自分一人で動いてみることが何より大切
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