退職代行を使うのは甘えか?「死ね」と言われる辞職バトルの壮絶現場
「仕事を辞めたくても、辞めたいと言い出せない」――そんな人に代わって、退職の意思を伝えてくれる退職代行サービス。電話やLINEで相談できる手軽さから、若年層から中高年にまで、急激な需要の高まりを見せている。
しかし、一方で批判的な見方を示す声もある。
「こういうゆとり世代っぽいサービス(退職代行)を考えられると、関係ないゆとり世代まで怒られる。ぜひやめて頂きたい」
これはギャルモデル・ゆきぽよ氏の発言。昨年末、彼女の出演する情報バラエティで退職代行サービスを取り上げた際に上記の発言をし、物議を醸したのだ。
お笑いタレントのハイヒールリンゴ氏のコメントも辛辣だ。
「辞めるときくらいは自分で言おうよ。大人には嫌なことをしなければならないときが必ずある!」
「嫌なことを人に任せてしまうと結局『逃げ』の人生になってしまうおそれがある」
と、退職代行サービスに苦言を呈した。
事実、ネット上には「辞めたいと自分から言えないなんて、メンタル弱すぎ」「退職代行は甘え」という意見も散見される。さらには「自分で辞めたいと言えないやつが、その後に転職なんてできるわけがない」という辛辣な声も上がっている。
しかし、そんな論調に「待った」をかけるのが、これまで数多くの労働問題を手がけ、退職代行サービスの現場にも精通する嵩原(たけはら)安三郎弁護士だ。
嵩原弁護士が言う。
「ゆきぽよさんのように、自分の言いたいことを物怖じせずに発言できる人は、そもそも退職代行サービスを必要としません。しかし世の中には、自分が思っていることをなかなか言えず、ひとりで抱えて心を壊してしまう人も多くいる。それに、『辞めさせてほしい』と会社に伝えても、人手不足を理由に取り合ってもらえないまま、そのまま鬱に陥ってしまうケースも少なくありません」
中小企業の中には、有給を一切与えない、残業代を支払わないなど、社内規定があいまいな会社もある。さらに驚くべきは、会社内で暴力が日常化しているケースすら存在するということだ。
「業務中に、殴る・蹴るなど暴力行為が行われたり、上司から『死ね!』と暴言を吐かれる。あるいは辞めたいと言ったら上司が家まで押しかけて、そのまま職場に連れ戻される……これまで、このようなケースを1000件以上は見聞きしてきました」(嵩原弁護士)
暴力団との関係を匂わせ、雇用者を支配する手口も横行している。
「『うちの代表は“その筋”との繋がりがある』と上司から脅されて、恐怖で震えあがっている人もいます。そのような状況では、依頼者は誰に頼ったらいいか分からない。結果、正常な判断がつかないほど追いつめられてしまう」
退職代行を使うのは「逃げ」だ、と厳しい声も

暴力、脅迫で精神的に追い込まれる
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