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pato「おっさんは二度死ぬ」は21世紀版「男はつらいよ」だ!<書評・トイアンナ>

おっさんの「気持ち悪さ」は可視化されやすい

 残念ながら私はオジサマ趣味ではない。ダンディな50代は好きだが、清潔感のない40歳はいやだ。ヘンなLINEを送り付けるおっさんをキモチワルイと思うし、時には通報する。だが、女も平等にキモチワルイのである。  私はいま31歳だが、男子高校生へ迫ったら十分キモチワルイ。ホストへ入れ込んで「〇〇クン、今日は会えなくてザンネン。お詫びに今度店外デートしようよ(*^▽^*) いい温泉があるんだよ! きっと〇〇クンも気に入るネ!」なんて送ってみようものなら、ネットで私刑に遭うだろう。  だが、おっさんの気持ち悪さはもっと可視化されやすい。そして攻撃されやすい。ホストにすがる女は「かわいそうなバカ」で済まされるが、キャバ嬢にすがる男は「キモチワルイ、死ね」と迫害されるのだ。この温度差は何なのか。おっさんの気持ち悪さには、なぜ世間がより不寛容になってしまうのか。  そのモヤモヤを抱えていたある日、書籍『おっさんは二度死ぬ』の書評を書かせていただく機会を得た。作中でおっさんは何度も世間から殺されていた。確かにキモチワルイおっさんにも非がある。けれど「そんなにか?」という問いの答えが、そこにはあったように思う。  著者のpatoさんと、1度だけ二人きりで夜道を歩いたことがある。飲み会の後だった。方向音痴の私を、親切に駅まで送ってくださった。道中、コミュニケーションが苦手な私の代わりに、話題をぽんぽん振りつづけてくれた。  けれどそこには、「キモチワルイおっさんとして、迫害されうる立場」としての緊張感もあったかもしれない。何の気なしにふるまうだけで加害者にされうる、おっさんたち。キモチワルイ呼ばわりされないために、ナイスでなくてはならないという重圧が、おっさんの肩には乗ってしまうのかもしれない。  21世紀版にアップデートされた「男はつらいよ」を知るためにも、『おっさんは二度死ぬ』が本棚に必要だ。 【トイアンナ】 恋愛・就活ライター、マーケター。慶應義塾大学卒業後、P&Gジャパン、LVMHグループでマーケティングを担当。新著『確実内定』。 ブログ「トイアンナのぐだぐだ」 Twitter @10anj10
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pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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