ライフ

pato「おっさんは二度死ぬ」は21世紀版「男はつらいよ」だ!<書評・トイアンナ>

pato氏の日刊SPA!人気連載「おっさんは二度死ぬ」単行本が、ついに6月29日に発売! インターネット上のみならず、文化人や芸能人にも密かなファンの多いpato氏。単行本発売に先駆け、各界で活躍中のライター陣からの書評を紹介する。  キモチワルイおっさんはどこから生まれるのだろうか。  いい年こいて職場の新人を口説いたり、結婚相手に20代の美女を所望してドン引きされたり。キモチワルイと呼ばれるおっさんたちも、生まれてこのかた気持ち悪かったわけはない。小学校時代にサッカー少年だったり、クラスの人気者だった男の子だって、勘違いした「キモチワルイおっさん」になる。  若いころにモテていた人だって「キモチワルイおっさん」になりやすい。いつまでも心の時計が20代で止まっていて、堂々と20代女性を口説きにいく。おっさん目線では純愛でも、端から見れば「キモチワルイおっさん」でしかない。キモチワルイおっさんになるリスクからは、誰も、逃れられない。

処女どうしのエロチャットに紛れ込んでいたおっさん

 私は10代のころ「なりきりチャット」にはまっていた。漫画やアニメのキャラクターを演じながら、オンラインでつながるチャット。真夜中のテレホタイムになればネットは定額になる。ピーガガガーーーピーの音とともにログインしてくる誰もかれもが中高生だった。  チャットへログインした私たちは、来る日も来る日もキャラクターになりきって疑似セックスをした。オンラインで、アニメキャラクターになりきってまぐわう楽しさはやみつきだった。誰もがおそらく処女だった。ネットで処女どもが集結し、アニメキャラクターになりきって疑似セックス。それをネタにキャラクター同士がからみあう小説を書く。そしてまたセックス。  ネットに無防備だった我々はBBSでお気に入りのグッズやイラストを見せることもあった。いつしか交換日記のようにリレー投稿となり、ある日、チャット常連の玲沙(れいさ)という子が、部屋のようすをアップした。  趣味でバンドをやっているカッコいい彼女のベースには、ガラケーをかまえたおっさんが映り込んでいた。  チャットが沸いた。あのおっさんを殺せ、キモイ、最悪、死ね、晒せ、大絶叫だった。処女にまぎれたおっさん。サイトの管理人もチャットの参加者だったため、おっさんはドメインごとブロックされた。  たしかに、おっさんは気持ち悪かった。  でもネットで疑似セックスを繰り返した、中高生の我々は気持ち悪くなかったのだろうか? おっさん「が」キモチワルイのだろうか。処女の疑似セックス履歴は、今ならネットで転売されてもおかしくない。10代女のキモチワルイ性衝動は売り物になるが、同じことをしていただけのおっさんは、「おっさんだから」と殺されてしまうのはなぜだろうか?
次のページ 
おっさんの「気持ち悪さ」は可視化されやすい
1
2
▪︎6月29日、待望の「おっさんは二度死ぬ」単行本が発売! 絶賛予約受付中!
pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


▪︎単行本発売を記念して、トークイベント&サイン会の開催も決定!
詳しくはhttps://nikkan-spa.jp/1579108まで

Cxenseレコメンドウィジェット
ハッシュタグ
おすすめ記事