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「メルカリは赤字でヤバい」は本当か?/馬渕磨理子

赤字だけど「お金持ち」だから怖くない

 では、メルカリのBSはどうでしょうか。 「流動資産(1)」の割合が高く、特にその中でも現金預金の比重が非常に高いことがわかります。  こうした企業のことを「キャッシュリッチな企業」と呼びますが、メルカリの場合、上場時の資金調達により「純資産(5)」も潤沢にあると言えます。  このように、BSをひも解くと、メルカリは1091億円の現金預金を抱えているという、盤石な企業の姿が浮かび上がってきます。つまり、メルカリは「お金持ち」なのです。他にも、「流動資産(1)」が「流動負債(3)」を上回っているため、資金繰りも安全であることがわかります。 キャッシュリッチ

PL・BS以外にもポイントが…

 では、なぜここまで「安泰」を維持できているのか、それを分析するときに着目するのが経営者の資質にほかなりません。  メルカリは小泉文明社長と山田進太郎会長にとって、それぞれ2回目の起業でした。つまり、経験があるため、起業する上で重要なことをそれぞれが自覚していた可能性が高いのです。たとえば、創業期にどんなメンバーを揃えておく必要があるのか。また、テレビCMをいつ、どれくらい打つべきか。そうした“過去問”を解いていたからこそ、フリマベンチャーにおいて後発だったメルカリですが、知名度を一気に上げ、市場のシェアを獲得したのです。  PLとBSを見るだけで、ここまで企業のイメージは変わるもの。  経営者の資質のみに着目するのでもなく、PLとBSという無機質なグラフだけとにらめっこするのでもなく、その両者を観察することで「気になる企業の未来」はクリアになっていくのです。
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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