白洲次郎はなぜGHQの高官と互角にやりあえたのか?
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第154回
白洲次郎という実業家がいます。連合国軍占領下の日本で、外務大臣だった吉田繁の側近として折衝にあたった人物です。彼はGHQから「従順ならざる唯一の日本人」と評価されていました。
当時の白洲次郎の人柄を表すもっとも有名なエピソードは、GHQの民政局長コートニー・ホイットニー准将とのやりとりです。ホイットニーが白洲次郎の話す英語を褒めたところ、白洲次郎は「あなたの英語も、もっと練習すれば上手くなりますよ」と返答したと言います。
行動の背景には常に人物の影響があります。白洲次郎はイギリスのケンブリッジ大学に留学し、ストラドフォード伯爵という貴族の友人がいました。本場のキングズイングリッシュに接していた彼だからこそ、自分の英語を褒めたアメリカ軍人に皮肉れたのです。
GHQが白洲次郎を「従順ならざる唯一の日本人」と評したのは、他の日本人が従順だったからに他なりません。しかし戦勝国と敗戦国という背景を踏まえれば、従順になるのも致し方ありません。
しかし、白洲次郎はそうではありませんでした。彼は「我々は戦争に負けたが、奴隷になったのではない」が口癖だったと言います。外野の立場ならば何とでも言えますが、自分が当事者だとしたら、一体どれだけの人間が堂々と振る舞えるでしょうか。
白洲次郎がそうした態度でいられたのも、留学先での経験があったからです。彼の家は貿易商を営む資産家で、ケンブリッジ留学中もベントレーやブガッティを乗り回し、英国の上流階級出身者と対等に接していました。自信は目の前の出来事に対する理屈ではなく、これまでの体験によって育まれます。
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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