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日本の人気女優たちのフェイクポルノも氾濫。中国AI「ディープフェイク」の闇

女性

日本の芸能界とAV制作者はフェイクポルノをどう思うか

 10分尺の濡れ場で3万円超ということになるが、超人気アイドルの誰にも見せない姿が見られるとあらば、ファンは手を出してしまうかもしれない。動画をポルノサイトに投稿し、アフィリエイト収入を目論む輩もいるだろう。また知り合いの女性の画像があれば、簡単に嘘のリベンジポルノが作れてしまうから恐ろしい話だ。  ただ、無断で「ポルノ出演」させられる芸能人にとってみれば迷惑千万だろう。フェイクポルノに顔を使われることは、肖像権侵害であることは明白で名誉や尊厳にも関わってくる。しかし日本の芸能界はフェイクポルノに対してまったく無防備のようだ。大手芸能事務所の関係者はこう話す。 「日本の芸能事務所が、フェイクポルノに対して何らかの措置を講じたという話は聞いたことがない。タレント本人も被害の大きさをまだ認識していないでしょう。制作も拡散も海外だから、法的手段に訴えても効果がないのでは」  フェイクポルノによる被害者は芸能人だけではない。“素材”として無断使用されるAV業界も著作権の侵害に遭っているのだ。AV監督として30年以上のキャリアを誇る、日比野正明氏はこう話す。 「『ヌケればいい』って考える今どきの若者は、合成とはいえ芸能人のカラミが見られるフェイクポルノに飛びつくでしょう。しかも無料ならなおのこと。これは業界にとっては大きな脅威。メーカーによってはAVの映像に『透かし』を入れて、女優の顔がわからなくてもすぐにどの作品か判別できるようにするなど、対策を行っているところもありますが、これだけ大量にバラ撒かれていたら対応することは難しいでしょう。  ただ、顔以外の部分を作る俺たちがいなければフェイクポルノも作れないわけで、このまま世の男たちがフェイクポルノばかり見るようになれば、AV業界は立ち行かなくなり、フェイクポルノも共倒れすることになります」

世界で1万4000本以上のフェイクポルノが蔓延

 最新のテクノロジーが生み出したフェイクポルノは現在、世界的な潮流になりつつある。テクノロジーメディア「ロボティア」の編集長・河鐘基氏は言う。 「オランダの調査会社によると、ディープフェイク技術を使った映像の96%はポルノで、世界中で現在1万4000本以上のフェイクポルノが蔓延しているとのこと。欧米では、東欧やロシアで制作されたハリウッド女優のフェイクポルノが多く、アジアでは日中韓の芸能人をターゲットにした中国製が多い。  アメリカでは7月に初めてヴァージニア州でポルノを含むディープフェイク映像の作製・共有が法律で禁止されました。今後、各国で法整備が進むことが予想されますが、地下経済であるポルノ産業に対してどこまで抑止力になるかは疑問でしょう」  日本でも対策が急がれる。 取材・文/廣瀬大介 奥窪優木 出水鴻正
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