仕事

調子いい人は信用できない。歌舞伎町のキャバ嬢が転落するまで

UFOキャッチャーで取れたぬいぐるみ

 でも、だいたいの場合のお客様は、自分と女の子の立ち位置を探っていて、「自分のほうが立場が上」だと判断すると、グイグイ押してきて断れないような状況を作ってきます。  ただ、そこで、女の子が一緒にホテルに行ったり、自宅に招いても、恋愛がはじまったり、その後お店に同じ頻度で通ってくれたりすることもありません。  お客様は「ゴール」を迎えてしまったので、UFOキャッチャーで取れたぬいぐるみと同じ扱いです。これで押してみてダメなら、もうこの子はナシだなと思って口説いているのです。  あるいは「この子は軽そうだから押せばやらせてくれそう。だめでも、もう会わなきゃいいだけだから」と思って口説いています。

お金にもならない口説かれ方

お金 前置きが長くなりましたが、冒頭でお話しした店の女の子Aのお話をします。Aは、店に入った当初から「風俗で働いていた」「経験人数が三桁」などと豪語していました。そして、お客様と話しているときも「旅行に行こう」「デートしよう」と思わせぶりです。  ただ、その割には、いざ実現するとなったら「(旅行には)みんなで行こう」とお茶をにごしたり、しどろもどろになったりします。でも、そうやって調子のいいことばかり言いながら、指名をたくさん稼ぐキャバ嬢はいるので、わたしもそこまで気にしていませんでした。  ただ、ある日、指名してくれたお客様とお店で泥酔してしまったAは、そのお客様と一緒に帰ることになりました。  2人とも前からよく知った仲だったし、時間も遅かったので、わたしも「まさかこのベロベロの状況で、お客様がAを襲うことはないだろう」と判断しました。しかしこれが間違いだったのです。
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「中途半端」になるのが一番ダメ
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