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日本一危険な祭に行ってきた。燃え盛る炎に飛び込む男たちに仰天…

 送り火や松明、灯篭など古くから祭事で重要な役割を果たしてきた「火」や「炎」。なかにはこれらが主役の火祭りも全国各地に存在するが、「天下の奇祭」「日本一危険」などと謳われる火祭りがあるのをご存じだろうか?  それは愛知県西尾市の鳥羽神明社(とばしんめいしゃ)に1200年前から伝わる『鳥羽の火祭り』。毎年2月第2日曜日に開催され、先日行われた今年の祭りを現地で見てきたのだが、誇張などではなく本当に衝撃的な内容だった。

まずは真冬の三河湾でみそぎ

最寄りの三河鳥羽駅にあったお祭りの看板

最寄りの三河鳥羽駅にあったお祭りの看板

 最寄り駅の三河鳥羽駅は、2両編成の列車が1時間に2本しか来ない無人駅。住宅が密集している地域もあるが周辺には田畑が広がり、コンビニはおろか、飲食店もほとんどない。
鳥羽神明社の参道入口

鳥羽神明社の参道入口

 駅から10分ほど歩いて会場の鳥羽神明社に着いたが、全国的に有名な奇祭が行われる場所の割には境内はそれほど広くはない。ただし、その一角には竹と茅で組んだ5メートルほどの「すずみ」と呼ばれる大きな松明が2つ並んで設置されており、かなりの威圧感だ。
祭りで燃やされる「すずみ」

祭りで燃やされる「すずみ」

 ちなみにこの火祭りでは、住んでいる地域の東西で「福地」「乾地」の二手に分かれ、参加者たちが業火に包まれたそれそれのすずみに飛び込む。競い合うようにして神木と十二縄を取り出して神前に供え、勝敗の行方とすずみの燃え具合で、その年の天候や作物の豊凶を占うという。
朝早くから場所取りに来る人も

朝早くから場所取りに来る人も

 言い伝えでは、「福地」が勝てば豊作で雨にも恵まれるが、「乾地」が勝つと干天などの異変が起こるとされているため、「福地」にかかるプレッシャーがすごそうだ。
当日最初に行う海での「みそぎ」

当日最初に行う海での「みそぎ」

みそぎを済ませ、肩を組んで戻る神男と奉仕者たち

みそぎを済ませ、肩を組んで戻る神男と奉仕者たち

 祭りが始まるのは午後3時。参加する神男(※両陣営の25歳の厄男から1名ずつ)と大勢の奉仕者たちは、お祓いを受けてからさらしにふんどし姿で1キロ以上を歩き、「みそぎ」を行うために海へと向かう。比較的温暖な地域とはいえ、真冬の2月に半裸。肩を組みながら威勢のいい掛け声が聞こえてくるが、そうやって気持ちを高めないとさすがにキツいのだろう。  海には参加者全員が入ったわけではないが、遠浅の海岸らしく先頭の一団は砂浜から200メートルほど沖合まで行っていた。祭りのお清めで冬場でも海に飛び込むこと自体は珍しくないが、明らかに10分以上は海水に浸かっている。サウナ後の水風呂ですら一瞬で出てしまう筆者には絶対無理だ。
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炎に飛び込む男たち
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